魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

トゲチョウチョウウオ

2022年05月11日 14時01分24秒 | 魚紹介

トゲチョウチョウウオはチョウチョウウオ科の代表的な種のひとつである。私も「熱帯性海水魚」と聞かれればまっさきにこの種を思い浮かべるものである。そのためこのぶろぐでもトゲチョウチョウウオを紹介していたものと思っていたのだが、どうもまだ紹介できていなかったようだ(写真では紹介できていた)。

トゲチョウチョウウオの特徴はよくのびた背鰭の軟条。名前の「トゲ」はここからきているのだろうが、棘条ではないので注意したい。同じように背鰭軟条が伸びるチョウチョウウオはほかにセグロチョウチョウウオとレモンチョウチョウウオの2種が知られている。また背鰭には大きな暗色斑があるが、これは捕食者の眼を欺くのに使用されているものと思われる。

体側のクロス模様はフウライチョウチョウウオも持っている模様であるが、フウライチョウチョウウオでは背鰭の軟条が伸びず、成魚は暗色斑を持っていない。

広い分布域をもち、南アフリカ~ハワイ、ガラパゴス諸島までの海に生息している。日本においても北は岩手県で獲れたことがある。しかし越冬できているのはおそらく紀伊半島以南であろう。沖縄ではチョウチョウウオ科の魚としてはもっとも普通にみられる種である。幼魚は千葉県以南の太平洋岸に毎年よく出現し、背鰭の黄色い部分が鮮やかなオレンジ色をした幼魚に出会うことができるだろう。

トゲチョウチョウウオはチョウチョウウオ科の魚としては比較的飼育しやすいとされている。「豆チョウ」とよばれる小型個体を大きく育てることも難しくはない。そのかわり性格はややきつめでほかのチョウチョウウオよりも優位になりやすいという問題がある。雑食性ではあるがサンゴはつついて食べてしまうので、基本的にサンゴ水槽では飼育することができない。この個体はサビキ釣りで釣れた個体で、オキアミを餌に釣れた。このような個体を持ち帰って飼育するのもよいだろうが、大きい個体は輸送が難しい。今回はリリースしている。

なお、トゲチョウチョウウオは先述のようにインド—太平洋の広い範囲、および東太平洋に生息する。紅海にも生息しているのだが、紅海のトゲチョウチョウウオには背鰭にある黒色斑を欠くという特徴があるのだ。なおトゲチョウチョウウオの学名Chaetodon aurigaは紅海産の個体をもとにつけられており、インドー太平洋のものが別種とされればまた別の学名Chaetodon setiferがトゲチョウチョウウオに充てられるだろう。もっともトゲチョウチョウウオは以前はこの学名が日本でも使用されていたことがあったようなのだが。


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