今年度ももうおしまい。魚購入数は少なかったものの、珍しい魚をいろいろと入手できた一年であった。そんな今年度最後に入手した魚(になるだろう)はカレイ目・ダルマガレイ科・ホシダルマガレイ属のモンダルマガレイ。
ホシダルマガレイ属は世界中で17種がいるとされる。このうち日本産は3種。モンダルマガレイはインドー太平洋に広く分布している。大西洋にはよく似ているBothus lunatusという、リンナエウス(リンネ)により記載された種がいるが、正直どこが違うのかわからない。日本産ホシダルマガレイ属は3種で、トゲダルマガレイは特に本種に似ているものの、雄は眼前方の頭部背縁がくぼむこと(トゲダルマガレイではくぼまない)、雄の無眼側に小さな黒色斑が散らばっている(トゲダルマガレイでは斑点はない)ことなどの特徴により見分けることが可能。また背鰭軟条数は96~102と多く、トゲダルマガレイと見分けることができる。モンダルマガレイの雌をトゲダルマガレイと見分けるのであれば、軟条数を数えるのが確実であろう。もう一種ホシダルマガレイはほかの日本産種と大きく見た目が異なっているが、まだ写真はもっていない。
眼の上方に棘がある
トゲダルマガレイは眼の上方に棘があることによりモンダルマガレイと見分けられるとされている。しかしモンダルマガレイにも大きな棘があった。雄には大きな1本の棘があるといい、これだけで同定するのは避けるべきなのだろう。
これまでにもダルマガレイ科は何種か見てきた。しかし本種について驚くべき点がいくつかある。まずはその長い胸鰭である。胸鰭は非常に長く伸びているがこれは雄の特徴らしく、雌の胸鰭はもっと短い。なおトゲダルマガレイの胸鰭も同様に長くのびており、胸鰭の長さは同定の決め手にはならないので注意が必要である。
頭部の斑紋がきれい
吻棘も長くて大きい。ダルマガレイ科のうちいくつかの種は吻に棘がある(とくにダルマガレイ属など、雄に吻棘があるのが多い)。この吻棘はダルマガレイ属にあるものと同一のものなのかはわからないが、このモンダルマガレイのものはかなり長い。これも雄の特徴になるのだろうか。もっともニセダルマガレイのように雌雄ともに吻棘を有する種もいる。なお、これは室内でフラッシュをたいて撮影したものであるが、青い大きな水玉模様があり美しい魚である。
モンダルマガレイの唐揚げ
厚みがすごい
モンダルマガレイは日本では和歌山県串本や宮崎県南郷、屋久島、伊豆・小笠原諸島、琉球列島に分布している。とくに琉球列島では刺網などによって漁獲されることがある。沖縄ではヒラメは分布していない(ガンゾウビラメ属はいる)ので、この手の魚やガンゾウビラメの仲間がヒラメの代用になっているようだ。今回は唐揚げで食したが、切り身のその厚みにも驚かされる。もっとぺらぺらであるかと思ったが、かなり厚みがある。美味だが小骨がかなり多く、食した結果刺身にするのは困難なように思えた。「縁側」の部分は骨が少なく食べやすい感じであった。
長らく探しまわった魚であるが、ついに入手することができた。なお、今回はフォロワーさんのお友達の方から入手した個体となる。ありがとうございました。