魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

シマハタ

2021年07月06日 18時02分36秒 | 魚紹介

今日は長崎(と書いていたが鹿児島の間違いでした、藤田くん、ごめん)から届いたカラフルなハタをご紹介。

ユカタハタ属のシマハタという種類である。

この種は体高が高く、黄色い横帯が体側に何本も入っているからだ。これにより、赤くて見分けるのがときどき難しく思えるユカタハタ属としては比較的同定しやすい魚ということがいえる。また幼魚のときは背鰭基底に黒色斑があるが、これは成長すると消えるてしまう。色はカラフルではあるが、本種の生息するやや深い岩礁域(水深100~200m)では薄暗くて赤い色は吸収され、わかりにくくなってしまうため、不都合はないようだ。

体高がやや高めであり、ユカタハタ属の中では同じように体高高めのクロハタやアザハタに近いかと思いきや、分子分類によればタテスジハタやミナミハタといった体高低めの種類と近い関係にあるらしい(Craig and Hastings, 2007※)。確かにこの3種はカラフルで、横帯、もしくは縦帯がある点が共通しているが、近縁種であるとは思われなかったであろう。シマハタはユカタハタ属以外の属に置かれたことはないが、タテスジハタとミナミハタ属はGracila属という別属のものとされたことがある。よくFishbaseなどの図鑑サイトではタテスジハタだけGracila属とされることもあるが、それならばミナミハタもこの属に含めなければいけないであろう。

シマハタは決して珍しくはないものの、私にとっては購入というのは今回が初めてである。ハタの仲間はどうしてもお値段が高くついてしまう。そのため、購入は見送ってきたのだが、最近よく魚を購入している鹿児島の田中水産 田中積社長がこの魚をFacebookでアップしており、今回ついに待望のご対面。

シマハタの頭部。眼の後方が強く盛り上がっているため、そのシルエットを見れば、アザハタやハナハタのように見える。先ほどの分類体系でいえば本種はミナミハタやタテスジハタと近いらしいため、意外なところではある。

横から見るとなかなか格好いいものの、背中から見るとちょっととぼけたような顔。

ハタ科の魚はどれも美味しいもの揃い。このシマハタも美味な種類とされる。まずはお刺身。やはりハタの仲間らしい身で、かなり美味しい。

頭や骨あどは「あら煮」にした。あら煮の「あら」はコトバンクによれば「粗」であり、𩺊ではないが、アラと同様ハタ科の魚である本種のあら煮は絶品であった。ただし、頭部は鱗をなぜかうまく落とすことができなかったので、少し鱗が気になった。

今回のシマハタは鹿児島県のトカラ列島産。田中水産の田中積さん、ありがとうございました。

※ Craig, M.T. and P.A. Hastings, 2007. A molecular phylogeny of the groupers of the subfamily Epinephelinae (Serranidae) with a revised classification of the epinephelini. Ichthyol. Res. 54:1-17.

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