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魚のぶろぐ

2006/5/28~。gooぶろぐサービス終了に伴いはてなぶろぐへ移行します

Facebookグループ離れました

2022年08月03日 04時35分54秒 | 魚類とインターネット

昨日は暑かったですねー。今日も暑いみたい。

さて、昨日偽ブランド品ショッピングモール()のSNS「Facebook」のグループ「新ギョギョッ!深海魚」を離れた。理由はフェイクニュース系のリンク放置があまりにもひどかったことである。自分のイラストをこのグループのトップにおいてくれてうれしかったのだが、残念なことになってしまった。

Facebookより。というかのりピーが本名みたいになってるやんw

このようなフェイクニュースがFacebookのコミュニティを埋め尽くし正常な投稿がほとんど埋もれてしまっている、という状況に陥ってしまったのだ。このサイトは「NEWZBASIC.com」というサイトであるが、このサイトに似た造りのものに「Dailynews83」というのもある。実際にこのサイトを訪問してみると、ほとんど内容らしい内容はなく、Youtubeの低品質動画へのリンクだけで構成されたページが多い。肖像権など完全に無視しながら、フェイクニュースをバンバン作成しているようだ。

このサイトを訪問し「About us」の項目を覗いてみると、「Newzbasic」も「Dailynews83」もいずれも説明文はほぼ同一である。タイ語やアラビア語が目立つが、実際はバングラデシュで作成されているようだ。ただドメイン検索をしてみると登録場所がレイキャビクになっている。アイスランドもバングラデシュも経済状態が良くなく所得も高いとは言えない。しかし、そういう国で作られたフェイクニュースが世界を駆け巡り大きな問題になっていく。リンクされたYoutube動画では利益も得ているだろう。それによって得られた資金はあまり所得の高くない国においては、大きな金額となるだろう。それに憧れてさらにフェイクニュースができ、ねずみ講のように増えていく。

そもそも、最近はFacebook自体もおかしい広告が多くなっている。とくに中国人による怪しい求人に注意が必要だ。特徴としては、普通日本人が見たことがないような字や、おかしな日本語表現が多用されていることもそうだが、「LINE」などに誘導してクレジットカード情報を聞き出すという手口をきく。

さらに最近はYoutube広告も頭打ちのようで、Youtubeにも「副業」「兼業」などの怪しい広告が出ていたりする。調べるとドメインがなぜか「. xyz」、調べるとシンガポールの会社である。やはり広告は「コカコーラ」や「トヨタ自動車」(偶然にも昨日豊田章男社長氏がフェイクニュースの餌食になっていたが...)、あるいは「フェラーリ」のほうがいいわけであるが、最近この事業から手を引いた会社も多いと聞いている。その穴埋めのために多少(どころではないが)怪しい会社であっても、Youtube広告出せちゃうんだなー、と思った。こういう詐欺広告もOk.なら「環境省から生物多様性を守る党」などのフェイクではないが過激な広告もOk.にしてもらいたいものである。

ということでそこそこお世話になった深海魚グループからの離脱という残念なことになってしまったものの、まあ、暑い夏を頑張って乗り越えましょう。くれぐれも「副業」「フェイクニュース」の広告にはご注意を。

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目標とステータス

2022年07月19日 22時01分54秒 | 魚類とインターネット
最近久しぶりに私が以前参加していた魚図鑑サイトを閲覧してみた。しかしながら、最近はどうも質の低下が著しいように思える。釣りや採集、水中写真、市場の魚もそれなりに投稿があるのだが、最近は熱帯魚屋で購入した魚や、水族館の魚も多く投稿されている。
かつてその魚図鑑サイトは高いステイタスを持っていた。誰でも投稿できていたのだが、水族館の魚については自主規制を敷いてそれを貫いていた。購入した観賞魚も同様である。しかし最近、特に私がはなれた年以降は一気に価値が急落した。というのも、収録種数1位を目指そうとして、水族館や博物館、購入した観賞魚も図鑑に入れようとしているからだ。目標は日本産魚種の全種収録というが、観賞魚や水族館の魚を収録することにより、逆にステイタスが落ちていく。
 
 
なぜステイタスが落ちるのかといえば、水族館や観賞魚は金さえあれば誰でも投稿でき、それがたくさん収録されていくと、なんでもありの安っぽいサイトになってしまう。
観賞魚については、自然界に存在しない模様の改良品種も多い。たとえば、キンギョは色や模様など様々だし、背鰭がなかったり頭にコブができていたり眼が突き出ていたりと、もとのギベリオブナからは想像できないほど形が変わってしまっている。ほかに其々別の魚を交配させた個体もいる。パロットファイヤーシクリッド、レッドテールタイガー、など。そんな人工交雑の魚を魚図鑑に掲載しても図鑑の品位が落ちるだけである。もちろん私はアマゾンの魚や、アフリカ、東南アジアの熱帯魚を拒否しているということではない。安易に購入した魚の投稿を認めるべきではないという話だ。一方、魚屋や魚市場で購入した魚を収録するのも問題あるのではないか、という声も聞こえてくるが、これらについては産地もしっかりしており、ペットショップで魚を購入するだけのものとは異なる。
 
さらに問題がありそうなのは、海外の魚を購入して、それを国内で採集した、と見せかけるという手法である。すでに疑わしいものを数件確認している。これは論文などで公表された場合は最悪、詐欺にあたる可能性も出てくる。そんなことがあればステイタスどころか、信用をなくすのでサイト消滅の危険がある。
 
なおこの魚図鑑サイトに対しては意見することは許されないし、そもそもできない。というのも意見をしようとするとすぐにブロックしてくるからである。TwitterもFacebookもその関連コミュニティさえもブロックするという徹底ぶりはある意味素晴らしいものがある。もっとも、そのおかげで私はもう二度とあのサイトに戻ることはない、と決意を明確にすることもできるのだが。
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Youtube動画に大変ひどいものが混ざっている件

2022年07月14日 21時06分42秒 | 魚類とインターネット

Youtube動画も好きで色々見ているのですが、あまりにもひどいチャンネルを見つけてしまった。

「世界の奇跡」というチャンネルでは「世界の危険な甲殻類トップ8」では、スベスベマンジュウガニが紹介されているが、その動画では一切スベスベマンジュウガニの画像や動画が使用されず、オールのような脚をもつワタリガニ科のカニの写真や動画を使用している。タカアシガニについても誇張された内容があったり、全くその生物について知らないで動画を作成しているなど、それは低品質図鑑サイトをそのまま動画にしたような内容となっている。

「ブライトサイド」というチャンネルの「できれば避けたい海の生き物14選」もひどい。最初にオニダルマオコゼを紹介するのだが、オニダルマオコゼの写真はほとんどなく、フサカサゴ属の種や、オニカサゴ属の魚などの写真が使用されているが、なんといってもカサゴ類と縁遠いカジカ亜目のケムシカジカの背鰭棘さえ「オニダルマオコゼの毒棘」として紹介している。さらに「ゾウギンザメは硬骨魚類」と紹介したり、このような動画チャンネルにありがちな「過激な表現」も使用されているなど、無茶苦茶な動画である。ほか、ブライトサイドはハリセンボンを猛毒魚として紹介していたり、浅海のハゼ科の一種と思われる魚の写真を深海棲クサウオの仲間と紹介しており、学術的に見てはいけないのだろう。もっとも深海のクサウオとして紹介している魚(おそらくハゼ亜目の何か)は、WikipediaではLiparis floraeとして紹介されているため、このサイトもWikipediaの被害者かもしれない。もっとも、Wikipediaを参考文献としている時点で、終わっているのだが。

これらの動画チャンネルの共通点として、英語チャンネルの動画をそのまま日本語訳して公開されているものが多いが、英語のインターネットではこのような生き物を紹介するのは動画だろうがメディアだろうが概ね低品質、生き物の同定内容もめちゃくちゃなものばかり。日本語サイトもあるが翻訳もめちゃくちゃなものでただ機械翻訳されたものだけであり、信用してはいけないだろう。もっとも欧米などでは日本ほど磯採集が盛んではない、もしくはそのような行為が規制されていることもあり、日本ほど生き物に興味を持ちにくいというところがあるのかもしれない。

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今こそ書籍の復興を望む椎名さん

2022年06月12日 22時07分08秒 | 魚類とインターネット

疲れた。最近チョウ目に縁があるような気がする。金曜日にルリタテハ、土曜日にはオオミズアオを見かけた。ルリタテハは最高に美しかった。

さて、最近爬虫類熱が高まっている気がする。きっかけはニホントカゲに最近しょっちゅう出会うことで、知人がヘビの一種ジムグリも採集していると聞いた。しかしジムグリは飼育が難しいとも聞いている。で、インターネットで飼育情報を調べたのがきっかけでこのぶろぐを更新することになってしまった。長文だが、ヒマな人は最後まで、そうでない人は途中までお付き合いください。「長文はやめろ、今北産業」という方は、うーん、どうしよう。ということで、簡単に言うとインターネットよりも書籍の復興をお願いしたい椎名さんである。

●調べたい情報が得られない

インターネット全盛で、情報の量はあふれかえっている現在であるが、なぜ書籍を復興する必要があるのか。これを見てほしい。これは私がジムグリを飼育してみたくて、インターネットで飼育情報を調べたものである(出典:Google)。

Google検索より「ジムグリ 飼育」での検索結果

赤く囲んだのはいわゆる「キュレーションサイト」というものである。

キュレーションサイトは某プロ野球球団を運営している会社のキュレーションサイト「WELQ」に代表されるサイトで、「まとめサイト」ともいうが、「まとめサイト」といえば私たちのような世代では大体2ちゃんねる→5ちゃんねるのスレをまとめたサイト、というイメージが強い。一方でキュレーションサイトはほかの人が書いたサイト・ウェブログなどの情報をまとめてウェブサイトで公開するタイプのサイトである。ここ10年ほど、特に2013年以降はやったような気がする。悪名高かった故「NAVERまとめ」もキュレーションサイトのひとつだろう。

その中の「WELQ」という医療情報をテーマにしたキュレーションサイトが「肩には守護霊がつく」など、デマを流していたり、ライターにほかのサイトをリライト、コピペなどするように指示していた問題が取り上げられ問題になったことがある。にもかかわらず、さすがに医療情報は無くなったが、生き物(ペット含む)、旅行、グルメに芸能人などYMYL(お金や健康など、生活に重大な影響をもたらしうるもの)以外のものについてキュレーションサイトが跋扈している。これらのサイトは大体Googleのアドセンスなどからの広告を得るために作られたサイトで、品質も「いいもの」はなくはないが、ほぼない。後はみな有象無象。筆者の作っていた熱帯魚サイトは、一応自分(や友人)が飼育していたもののみを紹介したが、結局はこのようなサイトとひとくくりにされた。なお、このGooブログも広告がついているがこれはブログサービスの仕様によるもの。無料だから仕方ない。

上の写真にある有象無象の山のうち、赤く囲んでいないサイトが二つある。有象無象の山から宝物を見出す感じか。一つは「明治大学 植物保護研究部のブログ」というもので、アメーバブログで運営されているいわゆる「ウェブログ」である。執筆時期も2012年6月23日で、キュレーションサイト大増殖よりも何歳も若い。実際に飼育している人が運営しているウェブログであり、情報の信憑性はキュレーションサイトとは比較にならないレベルで高いものである。

ただしこのようなウェブログサイトには欠点が三つある。一つはウェブログは日記形式で書いてあることが多いので、情報を得るのにいくつものページを見ないといけないことである。二つ目は最近のキュレーションサイトは、どうしても「Google検索で1位を獲て、アフィリエイトで金を稼ぐ」ことを目標に作られており、このような良質のウェブログは、有象無象の山の中に埋もれがちなのだ。そして三つ目は情報が古くなりやすいということである。たとえば2012年に作成されたサイトで紹介されているアイテムには、もう10年後には手に入れられないアイテムもあったりする。私がやっているサンゴ飼育ではこれが顕著、バイオアクティフやゼオビットなど、近所の海水魚店では入れるのを辞めた。また飼育技術の蓄積は日々進歩していき、2012年当時の飼育論が現在に当てはまらないなんてこともよくあるのだ。

赤く囲んでいないもう一つのサイトは「いきもの館の繁殖ラッシュ」という名前で、横浜市にある金沢動物園のサイトの一ページである。このような動物園のサイトも十分参考になる。欠点としては、動物園の飼育サイトというのはあくまでもライト層を中心にしたものであり、それほどマニアックな情報が得られないということがあげられる。

 

●強調スニペットも信用してはいけない

最も上の赤く囲んだサイトだけ大きく表示されている。これは強調スニペット、という。スニペットは「断片」とか「少しの」とかいう意味なのだが、強調スニペットは「質問が内包する検索語句に対する明確な回答を信頼性の高いWebページから抽出してGoogle検索結果の上部に強調表示する仕組み」ということである(鍵括弧内はSEOラボの強調スニペットのページより引用)。しかしながら、実際にはあまり信頼性の高くないWebページから情報が抽出されることもあり、あまりよろしくない。

ではこの強調スニペットで表示されているサイトは信頼性が高いのだろうか。見てみると…

なんと!画像すべてがインスタグラムから、もしくはTwitterからのリンクになっているではないか。こういうサイトは品質に問題があり、信頼してはいけないサイトである、というのは当ぶろぐの読者であればわかっていただけると思う(「低品質図鑑サイトの見分け方」の項目に書いてある)。つまり「飼育したことがない人が堂々と、ただ本やネットを見ただけで、飼育経験が豊富な人を偽って書いているサイト」なのである。ほかのページを見てもどこかで見たような画像ばかり。さらにはオトシンクルスを「コリドラス」として紹介していたり、クロコショウダイを「メバル」として紹介していたりしており、素人であるといえる。

このような会社は、何も飼育について知らない人が運営している会社である。この会社の会社概要を見ていると、他にも「旅行メディア」や「女性向けメディア」などが出てくる。まさしく某プロ野球球団運営会社が運営していた「なんちゃらパレット」と一緒ではなかろうか。そして「なんちゃらパレット」がなくなり、「WELQ」や「MERY」なども閉鎖などに追い込まれた結果発生した、「WELQ難民」たちの受け皿になっていたのかもしれない。低品質サイトの運営会社を見ていると、創業が2016~2018年が多いのは何らかの偶然か(WELQ問題が発生したのが2016年秋。ただし法人化していない低品質サイトも存在する)。

 

●この手のサイトの存在が生物にとって危機になりうる

先ほども述べたように、WELQが叩かれたのは、無断転載、ノン・オリジナリティの問題ももちろんあるのだが、一番の理由は、センシティブな「医療」の記事を何も知らないド素人ライターが書いている、というところが大きい。ということは私も以前「WELQ問題について感じたこと」という記事を書いている。

では医療情報でない、ジムグリの飼育についてはどうなのか。ジムグリは知人にお伺いしたところ「ああ、あれは難しいヘビだよ」という。しかし難しいヘビを、飼育できるという風に書いているのは大きな問題である(ヘビは難しいのは本当に難しい。正直海水魚飼育したことがない人にタツノオトシゴを飼わせるほうが簡単)。そう書くと、「おいおい、ジムグリ飼育は医療情報でもないし、YMYLでもないぞ」などという人はかならず出てくるはずだが、これについては大きな問題がある。

ジムグリは日本に生息する在来のヘビであり、ほとんどの場合採集個体、もしくは販売された採集個体を飼育することになる(繁殖させた個体がわずかに流通している)。しかしアオダイショウやシマヘビとは異なる難しいヘビ、飼育情報をインターネットで見て、採集しては殺しの繰り返し、となればその分ジムグリの数が減っていく。そしてそれはいわゆる「トリコ」も同じ、彼らは需要があるものは根こそぎとっていくのもいるので、消費される対象生物にとっては大いなる危機となる。ほかの生き物も同じで、生物の飼育情報は誤った情報を流せば、消費するだけの飼育になり、結果生物にとって存亡の危機になる危うさを秘める。

 

●嘘は嘘であると見抜ける人でないとインターネットは難しい

この手の飼育情報は「その生物を飼育していないにも関わらず、生物の飼育方法を紹介している」という意味でタチが悪い。このような嘘、というか出鱈目情報を初心者が鵜呑みにしているのだが、かつて2ちゃんねるの「ひろゆき」氏は2000年ごろ「嘘は嘘であると見抜ける人でないと(掲示板を使用するのは)難しい」と述べており、これはまさに今の飼育キュレーションサイト()全盛期にも当てはまる。というより、2000年ごろと比べて、嘘は嘘であると見抜ける人でないとインターネットから情報を得るのは困難な時代になりつつある。昔は愛好家が趣味でインターネットのホームページを有していたが、現在は趣味でつくっていたインターネットのホームページは少なくなり、カネを得るためのものになってしまった。

キュレーションサイトの情報はすべてとは言わないが嘘ばかり、飼育に関する情報はなかなか手に入らない。ペットショップへ行きたいが遠い、もしくは不安、ならどうすればいいか、となると、やはり紙でできた書籍の復活が最も望ましいということになるかもしれない。

ああ。また肩が痛い。これはきっと守護霊が背中についているんだろうな()

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低品質図鑑サイトの見分け方

2021年12月08日 12時22分44秒 | 魚類とインターネット

私たちは最近魚の情報はインターネットで知ることが多いのが現状です。しかし、このインターネット上での魚図鑑は問題が多く、低品質のものも多いので注意が必要です。今回は低品質の図鑑サイトの見分け方をご紹介します。

低品質図鑑サイトの特徴1. 解説はWikipediaから

最近作られる低品質のサイトですが、解説はしっかりしていることが多いです。というのも、解説はインターネット上のフリーの百科事典である「Wikipedia」からもってくることができるからです。しかしながら、Wikipediaはだれでも編集が可能ということで「百科事典」とはいえないところがあります。実際に、「クサフグ」のところでは長らくヒガンフグの写真が乗っていたことからもわかるように、百科事典としては信用できませんし(とくにフグなどは間違えて食べると当たることがあるので危険)、信用できる情報もないことはないのですが、やはり図鑑を作成するなら、ある程度紙の書籍、もしくは論文(PDF版もよいが紙とくらべ不便)などを使用しそこからの情報を引用して作成するべきです。そしてもちろん、引用した文献についても掲載しなければなりません。

低品質図鑑サイトの特徴2. 専門用語は使用しない

次に「専門用語が使用できていない」というところがあります。たとえば日本語の魚の種(および分類単位)において唯一の普遍的な名称は「標準和名」ですが、これを「正式名称」などとしているものはあまり信用してはいけないサイトといえるでしょう。

たとえば鰭の一つAnal fin。これに「尻鰭」というのを当てていたりするのですが、ただしくは「臀鰭」です。ほかにも「塩分」(アクアリウム用語。水に溶ける塩の濃度)を「塩分濃度」とする(ただし飼育書においてもこの用語を使っている書籍が散見される)など、専門用語がうまく使えていないサイトが多々あり、そのようなサイトについては低品質なものである可能性が高いといえます。

低品質図鑑サイトの特徴3. 画像はどこかで見たもの

この手の低品質図鑑サイトの特徴として、どこかで見たことがあるような魚の画像を使いまわしているということがあげられます。具体的には「Pixta」などの画像素材販売サイトを使用していますが、無料の写真は数も種類もどうしても限られてしまいます。したがってどこかで見たような写真が多数並ぶことになります。

中にはほかのサイトからの拾い画像や、本をスキャンした画像を勝手に掲載する触法サイトも存在します。さらに引用の条件を満たすためには出典の明記も重要ですが、その出典がどこにもないサイトも多いのです。一方逆にこの出典の明記ばかりのサイトは、どうしても「他人のふんどしで相撲をとる」ような印象はぬぐえません。そして最近は素材サイトの同定も信憑性が低くなりつつあります。特に海外産の魚の素材サイトについては、めちゃくちゃな同定をしているものも多くあるのです。あの比Fishbaseでさえも間違いが散見されるのですから。

もちろん、同定が100%正しいという図鑑サイトを作るのであれば、タイプ標本ばかり並べたサイトを作成するしかありませんが、それは不可能なことです。ホロタイプ標本はまず貸してくれることはありませんし、わが国やドイツの博物館のコレクションは大戦の戦火で焼失してしまったものも多いのです。ですから仕方がないのですが、それでも魚の写真はできる限り自分で撮影して、自分で、もしくは詳しい人に同定してもらった魚を使った魚図鑑サイトであれば、その分信頼できる魚図鑑サイトとなるでしょう。

低品質図鑑サイトの特徴4. Twitterやインスタグラムへのリンクが多い

人気のSNS、従来はmixiやFacebookでしたが、mixiは私は今でもやっているものの、もう完全なオワコンになり、Facebookも最近は下火。現在は若い人たちが多く使っているのはTwitterやインスタグラムです。

このTwitterやインスタグラムの記事を貼り付けてコンテンツを作成するようなサイトがありますが、これも低品質サイトの特徴といえるでしょう。このような貼り付けの機能はもともとしっかりしたサイトがもう一つ何か欲しいなー、というときに貼り付けて使うというものであり、これで図鑑をつくるのは適していません。というのも、そのTwitterやインスタグラムの記事を消してしまえば図鑑としては成り立ちませんし、勝手に第三者が使っていいというものでもありません。

もし図鑑サイトでTwitterや、インスタグラムを使用するのであれば、図鑑サイトに何か新しいものを加えたい場合に、図鑑サイト側が、ツイッタラーやインスタグラマーに発信し「ウチのサイトの宣伝をしてくれませんか」とお願いしたり、もしくは「ウチのサイトであなたのインスタグラムやTwitterを宣伝できますよ」と持ち掛けるのが適切な使い方といえます。もちろん、図鑑サイトがTwitterやインスタグラムのアカウントを所持して「今日は新しくこんな投稿がありました」などと宣伝するのも効果的でしょう。

低品質図鑑サイトの特徴5. 飼育や釣り系のサイトによる図鑑は要注意

この手の低品質サイトはいったいなぜ存在するのか。その理由は「アフィリエイト」です。つまり、サイトに広告を掲載し、掲載した商品を購入してもらうことで利益を得るというものです。そして魚系の低品質サイトで、かつアフィリエイトで稼ごうとしているサイトは飼育系のサイト、もしくは釣り系のサイトが多く見られます。理由は簡単で飼育器具や釣り具(とくに竿やリールなど)には高価なものが多く、それにより大きな利益を得ることができるからです。実際に広告の器具や釣り具を使用してうまく飼育できたり、よい釣果をあげたりするのをアピールするサイトも存在するのですが、大体がそのような器具や釣り具を使用したことがなく販売し、小銭を稼ぐようなサイトばかりです。

というのも、実際に器具や釣り具を使用したサイトをつくろうとするなら莫大なカネがかかってしまいます。筆者もアクアリウム器具のサイトを作っていたことがあったのですが、実際に購入してサイトを作成するものだったので、やはり資金的には苦しめられました。したがって情報量の非常に多いアフィリエイトというのは、実際にその器具や釣り具を使っていない可能性が高いので注意しなければなりません。

飼育系のサイトでは、アクアリウム通販サイト「チャーム」へのアフィリエイトも見られます。生き物を通販で購入するということについては賛否両論ありますが、この手のサイトでは正確な情報を得ることが難しいので、購入した生き物をすぐ殺し、死んだらまた購入し...という、ただ浪費するだけの飼育になってしまう可能性があります。さらに日本産淡水魚についてはいわゆる「トリコ」の問題もあり、乱獲を招くという結果にもなりやすいといえます。

低品質図鑑サイトの特徴6. 大げさな「猛毒」「温暖化」発言で不安をあおる

この手の低品質サイトでのキーワードの一つとなっているのは「猛毒」というものです。

主に「ソウシハギ」や「ヒョウモンダコ」などは猛毒を持つだけでなく「温暖化」により北上しているというのを掲載しているニュースメディアも多いのです。もちろん海水温が上昇していることは事実ではあるのですが、それにソウシハギやヒョウモンダコを無理やり結び付けることについては疑問を抱いてしまいます。ソウシハギは温暖化の影響で北上している、などと言われますが、実際にはこの種は流れ藻(やそのほか浮遊物)についてくる習性があり(特に幼魚)、毎年やってくるものと考えたほうがよいでしょう。大きな個体については、流れ藻などの浮遊物につく生き物を捕食し成長するということも多いです。

ヒョウモンダコについては温暖化(もしくは海水温の上昇)により沖縄にいたものが本州から九州の沿岸にも出現しているというお話が聞かれますが、「沖縄のヒョウモンダコ」はオオマルモンダコが多く、実際にこのタコはよく撮影されていますが、ヒョウモンダコはまだ見ません。また古くから相模湾や伊豆などで目撃されており、熱帯性というよりは温帯の種類といえるかもしれません。ヒョウモンダコに関するWikipediaの記述はヒョウモンダコとオオマルモンダコが合わさったものであり、注意が必要です。

ヒョウモンダコがこれまであまり見られなかったのに、最近よく見られるようになったというのは、マスコミの影響もあるかもしれません。ヒョウモンダコのことを騒ぐのでよく意識して見るようになり、目撃例が多くなったというもの。このタコは擬態の名人で、動かないとわからないということがあります。毒性は強いのですが、タコから向かってくることはないのでその点は安心です。ヒョウモンダコ以外のタコも咬毒をもつことが多く、タコには触らないようにするのが一番。

低品質図鑑サイトの特徴7. 行政に従順

低品質サイトですが、環境省などの行政に従順であるということも特徴の一つにあげられます。

しかし、行政が行っているのは「採取などを禁止する」ことであり、実際に生物個体数の減少の最大の理由である「開発による生息地の消滅」については、「開発を制限することができる」的なものにとどまっています。しかしながら、低品質サイトの運営者は「行政は生物多様性の保全のために努力しているんだなー」と思っていたりしてまして、意見を述べることをしていません。また絶滅危惧種であることを過度にアピールするのも、このような低品質サイトの特徴といえるでしょう。最近はSDGsのブームもあり、そのようなことがクローズアップされていますが、なぜ減っているかは書いていても、どうすればいいかは書いていないのです。

低品質図鑑サイトの特徴8. 魚の名前が不正確

低品質サイトにおいては、魚の名前も正確ではありません。

とくに、標準和名●●●、という魚なのに通称で●▲●と呼ばれる魚と、標準和名で●▲●と呼ばれる魚については混同しやすいです。具体的にはアカメフグ、ドンコ、メゴチなど、魚の名前が混乱しやすいものがいます(どのように混乱しているか知りたい方は私にメールをおよせください)。これらの魚でどんな写真を使用しているか、どんな解説文が書かれているかを見ることは低品質サイトかどうかを見分けるのに役に立つのですが、ある程度魚のことをよく知っておかないと、正しいか否か理解できないところがあります。この見分け方はある程度魚のことを理解した人向けの見分け方といえるでしょう。

低品質図鑑サイトの特徴9. 対応が悪い

そして最後に、低品質図鑑サイトの運営者の対応が最悪であるということもあげられます。

他人画像の無断で使用しているサイトへの指摘は、該当の写真を消すだけで、たいていそのあとはFacebookやTwitterをブロックされるのがオチです。たとえばある神奈川県にある海水専門の水槽メンテナンス業者が運営しているサイトなどは、人の画像をさんざん勝手に使ってきて、それに対してTwitterで注意した挙句、画像を削除または差し替えたものの、Twitterのアカウントをブロックされたということもありました。大きなサイトであるが2021年は過去の記事の再アップばかり、しかも内容も...。

ということで、低品質図鑑サイトの見分け方を紹介しました。最後に低品質魚図鑑サイトというのの一覧をアップしようと思いましたが、ほかのサイトから訴えられる可能性もあるので今回はなし。結論としては

図鑑や飼育のサイトでは稼げません。

以上!

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