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日本国憲法の原案は日本産

2015-05-19 11:41:05 | 本や言葉の紹介

 17日の東京新聞書評に『平和憲法の真相』(古関彰一 ちくま新書)が紹介されました。
 現在の日本国憲法は、日本政府が提出した憲法改正要綱(松本案)をGHQが拒否して、GHQから渡された案が元になっているということはよく知られているようです。でもね、そのGHQ案は、別の日本の新憲法案を参考にしたんだって。
 書評から抜粋します(適宜改行)。評者は福間良明・立命館大教授。
 
●自発的に練り上げた理念
  「憲法はアメリカに押しつけられた」-よく耳にする言い分である。だが、ほんとうに「押しつけられた」のか。本書は、こうした問いを念頭に置きながら、憲法制定過程をじつに丁寧に描いている。

 実は、GHQ案は日本の新憲法案を参考に創られたものだった。
 自由民権運動史研究家の鈴木安蔵らのグループ「憲法研究会」が政府案よりも前に発表した「憲法草案要綱」である。
 国民主権に基づく立憲君主制や生存権規定、福祉国家を目指す条項が多く盛り込まれていたこの草案は、明治憲法を微修正した程度の松本案に比べて、民主主義的な色彩が際立っていた。GHQはこれを高く評価した。
 日本政府に突きつけられたGHQ案は、日本人の手による憲法草案を大きく参照したものだった。
 GHQ案の「戦争の放棄」条項は、確かに主権制限が意図されたものではあった。だが、衆議院の各種委員会で審議されるなかで「平和の理念」を謳いあげるべく九条一項や前文が練りあげられていった。主権制限条項を不本意ながら受け入れるというより、「平和」を基調とした新たな国家像を積極的に提示しようとしたのである。
 「押しつけ憲法」論は、こうした経緯への理解と想像を欠いたものでしかない。


 そうだったのか。