泥酔した挙げ句、何処かの事務所に入り込んで、ソフアーに寝ていた警察官が逮捕された。そんな事件が、テレビニュースで流れた。
「いくら飲み過ぎたからといって、前後不覚になるってあるのかしらねえ」
カミさんにとっては、とても不思議なことらしい。
日頃の私を見ていたかぎり、そのようなことは考えられないからだ。
それはカミさんに見えなかっただけで、実は私とて泥酔が皆無ではなかった。
もちろん、いかにだらしのない私でも、喧嘩をふっかけたり、女性のお尻に触ったりなどはしない。
私の言っている「泥酔」は、腰がふらついてしまうことではない。他人の家に入り込んでしまうことでもない。
「酔いから醒めた後、どうしても思い出せない時間帯があった」、ということなのだ。
その時間帯に、何かをしでかした可能性はゼロではない。
そんな朝、私はかなりの不安に駆られる。とは言っても、一緒に飲んだ仲間に、あからさまに「夕べの記憶がないのだけれど、何かしでかさなかったか?」と、聞くのも憚れた。
そのような場合は、「夕べはだいぶ飲んじゃったなあ」などと言いながら、記憶が残っている部分から探り始めるのだ。
「君と別れたのは、○×屋だったよなあ」
「ええ、あそこで別れました。A君がお宅まで送って行ったと聞いていますよ」
「そうそう、A君には悪いことをしたなあ」
やっぱり、A君に送ってもらった附近以降、記憶から消えていたのだ。
ツジツマを合わせをしながら、探索を次ぎへ次へと進める。
ここまではっきりすれば、あとはA君の話を聞かなければならない。
「先輩はずいぶん遠慮されていましたが、久しぶりに奥さんの顔も拝みたかったので、玄関まで行ってしまいました。お邪魔してすみませんでした」 A君の弁だ。
つまり、何の阻喪もせずに、家にたどり着いていたわけだ。
そんな状況であったのにもかかわらず、次の朝、
「あれ・・?ここは何処だ・・・?」、と、わが家の天井を見たことがあったのである。
記憶の一部が消えてしまっていたのだ。
カミさんから見れば、後輩に送られて機嫌良く帰ってきた私が、そのまま寝たとしか思っていない。
もうこのような呑み方はしていない。
これではアルコール中毒の寸前だ。医師にも注意を受けた。
「一合程度ならいいですよ」
医師にはそのように言われているのだが、今はかなりセーブしている。
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