過日の写真散策の帰り、私鉄に乗った。
始発駅だったが、少し混み合っていたので、優先席に座った。
4人掛けの席が向かい合っている。
私が座っている側には、姑と嫁の関係らしい中高年女性が二人。紙袋を椅子の上に載せている。従って4人席に3人が座った。
対面の席には、70代男性、20代女性、高年女性の3人。
少し離れたところに、子供を抱いたお母さんが、4~5歳くらいの女の子と乗ってきた。抱かれている男の子は、すっかり寝入っている。
とっさに私は立ち上がった。
「さあ、ここへ座って!」
対面の席に座っていた70代男性も、大きな声をかけてきた。すでに立ち上がっていた。
「お嬢ちゃんもここに座れるよ!」
3人しか座っていなかったので、男性が立てば母と子が座れる。
「ありがとうございます」
子供を抱いたお母さんとお嬢が、うまい具合に座れた。
立ち上がった70代男性は、私たちが座っている座席の前に立った。4人の席に3人しか座っていない。当然座れるはず。
ところが、座席には紙袋が置いてある。
「こっちへ詰めれば、4人座れるよ!」
キツイ口調で私は言った。「紙袋は膝の上!!」 これが私の欠点なのだ。
渋々ながら、中高年の嫁・姑が席を詰めた。
ぺちゃぺちゃと煩く話をしていた嫁・姑も、すっかり黙ってしまった。気分を害したのかも知れない。冗談じゃねえ!気分を害しているのは私のほうだ。
その間、向かいの席の20代女性は、一心不乱に携帯をピコピコしている。「電源をお切り下さい」というアナウンスが聞こえていないのだろうか。
子育て時代を経験しているはずの中高年女性は、子供を抱いた若い母親に対し、何の気遣いもしない。時々そのように気づくことがある。
もちろん男性もダメだ。それを承知の上で言うのだが、子育ての大変さを経験しているのだから、もっと優しくしてやれないものか。
「私たちだって、苦労してきたのよ!子育てに苦労はつきもの」
そのように言いたいのだろうか。
ピコピコの若い女は論外だ。
これでは国が壊れて行く。納得できない憤懣が、私の胸中で渦を巻いていた。
子連れの母子が席を立った。降りる駅がきたらしい。
「ありがとうございました」 母親が、みんなに向かって頭を下げた。
「○○ちゃん、ありがとうって、お礼を言うのよ」 お嬢に促した。
「ありがとうございました」 お嬢は舌足らずな言い回しでお礼を言った。
ほっとした。凄く救われた気持ちになれた。
日本が壊れませぬように!
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