新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

わが影

2008年12月01日 07時26分16秒 | 写真俳句・エッセー

 昨日の日曜日は、よく晴れでいた。

 東京の下町方面へ、写真散策と洒落込んだ。

 太郎ママさん(ブログ{太陽の子守歌」)からいただいたコメントにもあったので、テーマは影。

 意外に影は難しい。特に人物の影は狙いにくい。足元にレンズを向けるのだから、嫌われる。変質者と思われるかもしれない。

 引き上げようと思っていたとき、手押し車を押した老女が通りかかった。私よりは十分に年上の雰囲気。

「散歩ですか?」 にこにこしていたので、声をかけてしまった。

「ええ、少しは運動をしませんとね」 穏やかに答えてくれた。

「お元気そうではありませんか」 手押し車を押しているのだから、腰痛かもしれない。

「いいえ、あなた、もうボロボロですわ」 ボロボロの割りには爽やかな口調だ。「なにしろ終戦の時、もう女学校でしたから……」

「そのころは東京でしたか?」

「ええ、学徒動員とかで、工場で働いて……」

「3月の大空襲の頃も?」

「そりゃァもう大変でしたよ」

 淀みのない話し方であった。数分間ほどは話をしたろうか。きっと一人住まいなのかもしれない。まだ話したりない様子に見えた。

「影の写真を撮らせていただいてよろしいでしょうか」

 足元からのツーショットの影を撮りたくなっていたのだ。

「ええ、どうぞどうぞ」

 気持ちよく承諾してくれた。シャッターを2回。

「どうもありがとうございました」 帽子をとって、深く頭を下げた。 

「いいえ、こちらこそ、ありがとうございました」 かえって礼を言われてしまった。

Simg_5413

 左の太目が私。言い訳をすれば、コートの襟を立て、大きなカメラバックを提げていた。

 それにしても 、老婦人の丁寧さには敬服した。やはり、昭和一桁は違う。私は胸がポカポカしてきた。

 私の自画像ならぬ「私の影」も撮った。下の俳句写真だ。

Simg_5417
わが影の樹木に立てり冬夕日

 冬の夕日が、桜の太い幹に、恰好の影を映してくれていた。 

  撮影ポーズとならないよう注意しながら撮った。

   わが影の 樹木に立てり 冬夕日

          今さら影に  愚痴も言えまい

 そんな心境が偽らないところ。

    わが影の樹木に立てり冬夕日   鵯 一平

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コメント (16)
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