昨日の日曜日は、よく晴れでいた。
東京の下町方面へ、写真散策と洒落込んだ。
太郎ママさん(ブログ{太陽の子守歌」)からいただいたコメントにもあったので、テーマは影。
意外に影は難しい。特に人物の影は狙いにくい。足元にレンズを向けるのだから、嫌われる。変質者と思われるかもしれない。
引き上げようと思っていたとき、手押し車を押した老女が通りかかった。私よりは十分に年上の雰囲気。
「散歩ですか?」 にこにこしていたので、声をかけてしまった。
「ええ、少しは運動をしませんとね」 穏やかに答えてくれた。
「お元気そうではありませんか」 手押し車を押しているのだから、腰痛かもしれない。
「いいえ、あなた、もうボロボロですわ」 ボロボロの割りには爽やかな口調だ。「なにしろ終戦の時、もう女学校でしたから……」
「そのころは東京でしたか?」
「ええ、学徒動員とかで、工場で働いて……」
「3月の大空襲の頃も?」
「そりゃァもう大変でしたよ」
淀みのない話し方であった。数分間ほどは話をしたろうか。きっと一人住まいなのかもしれない。まだ話したりない様子に見えた。
「影の写真を撮らせていただいてよろしいでしょうか」
足元からのツーショットの影を撮りたくなっていたのだ。
「ええ、どうぞどうぞ」
気持ちよく承諾してくれた。シャッターを2回。
「どうもありがとうございました」 帽子をとって、深く頭を下げた。
「いいえ、こちらこそ、ありがとうございました」 かえって礼を言われてしまった。
左の太目が私。言い訳をすれば、コートの襟を立て、大きなカメラバックを提げていた。
それにしても 、老婦人の丁寧さには敬服した。やはり、昭和一桁は違う。私は胸がポカポカしてきた。
私の自画像ならぬ「私の影」も撮った。下の俳句写真だ。
冬の夕日が、桜の太い幹に、恰好の影を映してくれていた。
撮影ポーズとならないよう注意しながら撮った。
わが影の 樹木に立てり 冬夕日
今さら影に 愚痴も言えまい
そんな心境が偽らないところ。
わが影の樹木に立てり冬夕日 鵯 一平
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