安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

地震予知できない学者に禁固刑を科したイタリアと地震予知の現状

2012-10-26 22:25:07 | 気象・地震
地震学者らに禁錮6年 イタリア「安全宣言」直後に発生(朝日)

具体的な経過は記事をご覧いただきたいが、地震予知が現状では未知の分野とされる中で、根拠なく安全宣言を発した地震学者に実刑が下された。イタリアの地震学者が気の毒になってくる。原子炉が壊れてからも「安全」と言いまくり、罪にも問われない日本の御用学者は一度厳罰に処せられたほうがいいと思うが…。

昨夜も石巻市で震度5弱を記録する地震があったが、10月20日、茨城県在住を名乗る人物により、あるオカルト系予知・予言サイトに「自分の家の井戸水が突然、枯れた」という注目すべき書き込みがあった。内容の真偽がわからないので話半分に聞いておこうと思いながら、警戒だけはしておいたが、まさか本当に宮城で震度5弱が来るとは思っていなかったので若干、驚いたところだ。

現状では、地震予知は「ナマズが暴れると地震」という民間伝承と同等か、悪ければそれ以下の水準で、全く当てにできない。この例のような「井戸が枯れる」とか、イルカやクジラが数十頭単位で打ち上げられる、という話のほうがよほど予知としては信頼が持てる。

今、地震予知につながるものとして期待されている前兆滑り(プレスリップ)にしても、大地震の直前に必ず起こるという確証は今のところ持てないし、逆に前兆滑りがあったから必ず大地震が来るというものでもない(現に、千葉県沖では数年に1度の割合で地震を伴わない前兆滑りは起きている)。

大規模地震対策特別措置法(大震法)では、東海地震の発生が確実になった段階で首相が「警戒宣言」を出せることになっているが、警戒宣言が出されたら交通や物流は麻痺する。国民の生命のために警戒宣言が2~3回は空振りになってもいいという社会的合意があればよいが、原発事故で明らかになったように、この国は命より経済が優先だ。この国の支配層は、国民の反発を恐れて公の場では口にしないが、本音では「たかが10万人や20万人の命ごときで経済を止めるなんてあり得ない」と思っているだろう。政府や経済界がこの体たらくで、警戒宣言など出せるはずがないと当ブログは思うのだ。

このように考えれば、いざというときが来ても、予知はできず警戒宣言も出ない。「そのとき」はある日突然やってくる。残念ながら、政府に投じた税金はドブに棄てたのだと割り切り、自分の身は自分で守るしかない。そのためには、動物の異常行動などの「宏観異常現象」を注意深く観察しながら備えるしかないのだろう。

私は、当ブログのリンク先にもなっているNPO法人大気イオン地震予測研究会 e-PISCOを、宏観異常現象に偏重した団体だと思っていたが、今、この時を迎えてみるとe-PISCOには先見の明があったと思う。宏観異常現象の収集、体系化のほうが実用的な地震予知につながる可能性がある。もうしばらく、e-PISCOとの付き合いは続けていくほうがいいように思う。

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