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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算384回目)でのスピーチ/北海道で進む核のごみ問題と日本学術会議

2020-10-31 16:10:23 | 原発問題/一般
 皆さんお疲れさまです。この道庁前行動に参加するのは、なんと1年ぶりです。ホームページを見ていると、この道庁前行動もコロナのため9月いっぱいまで休止の予定だったのが、9月4日から急きょ再開したと聞きました。核のごみ問題が急浮上したため、休んでばかりもいられない。そんな思いがみなさんにもあったのだと思います。

 1年間、私がここに来られないでいるうちに、長かった安倍政権も終わっていました。菅政権の誕生というのは、いわば黒幕が表に出てきたようなもので、自民党政権の悪は終わるどころかますます露骨になってきたように思います。

 その菅政権が発足早々、日本学術会議問題でつまずきつつあるように思います。この学術会議問題、実は水面下で原発や核のごみをめぐる問題ともしっかりつながっています。1年ぶりの道庁前行動なので、今日は少し興味深い話をしたいと思います。

 今、日本学術会議に対して、民営化論や不要論などが出され攻撃が広がっています。政府への勧告を10年以上も行わない「休眠組織」は要らないというのです。しかし実際はそうではありません。確かに勧告は行われていませんが、学術会議内部の委員会、分科会からの「提言」は毎年のように行われており、その中にはきわめて有意義なものもあります。

 2012年に出された「高レベル放射性廃棄物の処分について」という提言もその1つです。政府が推進する核のごみの地層処分について、埋めた後に地盤が動いて放射性物質が漏出しても再取り出しができず無責任だと批判し、地上での「暫定保管」に管理方法を切り替え、安全確実な処分技術の確立を待つよう提言しています。暫定保管のためには核のごみの総量を確定させる必要があるとして、核のごみ増加につながる原発再稼働に反対を表明し、当時は地味な組織に珍しく注目されました。

 学術会議の「福島復興支援分科会」が2014年に出した「東京電力福島第一原子力発電所事故による長期避難者の暮らしと住まいの再建に関する提言」も有意義なものです。『原子力災害による放射線被曝は、長期的に健康被害をもたらさないように、できる限り避けなければならない。一方で、避難生活に関わる帰還、移住、避難継続の選択については、誰からも強要されることなく、避難者個人の判断を尊重する必要がある』として『帰還を当面選択しない住民も公平な取り扱いをすること』『長期避難者の住民としての市民的権利を保障すること』を求めています。私たちが要求してきたのと同じ方向性を持つものと言えます。

 首相によって任命される学術会議の委員たちが、政府に忖度したりおもねったりすることなく、こうした市民・被害者本位の提言を出すことができたのは、学術会議の政府からの独立性が保障されていたことに加え、若手会員らの努力も指摘しておく必要があります。

 2014年の提言に関わった丹波史紀(たんばふみのり)さんは、事故前の2004年から地元・福島大学行政社会学部准教授を務め、リーマン・ショック直後の2009年からは「反貧困ネットワークふくしま」の共同代表としても活動していました。原発事故前から一貫して弱者に寄り添ってきたこのような若手研究者の高い意識や努力があったからこそ、こうした提言を出すことができたのだと私は考えています。

 2012年の核のごみに関する提言も同じです。この提言をまとめた日本学術会議「高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会」には、適任とは思えない人物も委員に多く含まれていました。BSE問題のとき、政府の広告塔として自治体が独自に続けていた全頭検査を廃止するよう主張し続けた唐木英明氏や、福島大学で「老害」化した清水修二氏などの学者がその一例です。そうした「御用学者」たちを抑え込み、地層処分を批判する提言を出すことができた背景には、原子力市民委員会座長を務めた舩橋晴俊(ふなばしはるとし)さんらの努力があったからです。舩橋さんは、残念ながら2014年に亡くなっています。

 この「核のごみ」委員会の幹事の1人に東京慈恵会医科大学教授の小澤隆一さんもいました。菅政権によって今回、任命拒否された6人のうちの1人です。メディアは安保法制に反対したことが任命拒否の理由と報道しています。もちろんそれは間違いではないと思いますが、核のごみ地層処分という重要な「国策」に反対したことも任命拒否の背景にあると見るべきでしょう。

 そもそもこの核のごみに関する提言は、内閣府原子力委員会からの諮問に対する答申として出されたものです。当時の近藤駿介原子力委員長は提言も自分の手で受け取っています。驚くことにその近藤氏は今、提言が否定したはずの地層処分を推進するNUMO(原子力発電環境整備機構)理事長として寿都町、神恵内村に核のごみを受け入れさせるために動き続けてきました。学術会議から、地層処分をやめるよう提言を受けた張本人を、地層処分推進組織であるNUMOの理事長に任命する資源エネルギー庁も、こうした人事を受け入れる本人もあまりにでたらめです。私は、2015年10月、札幌で行われたNUMOの説明会で、発言指名されたので「こんなでたらめな人事をおかしいと思わないのか」と質しましたが、資源エネルギー庁は「本人の人格や実績を見て任命した」と言うだけでまともに答えられませんでした。木で鼻をくくったような官僚答弁をした人物は、多田明弘という資源エネルギー庁の幹部ですが、彼はまだ経産省内の出世レースに残っており、そのうち経産省事務次官になる可能性もあります。こうした人事についても、みなさんしっかり監視していただきたいと思います。

 学術会議に対し、自分から諮問をしておきながら不都合な提言が出ると無視。核のごみ拒否条例まで作って「要らない宣言」をしている北海道に民意無視で押しつける。そんな自民党政権に学術会議を役立たずの税金泥棒呼ばわりする資格などありません! 解散しなければならないのは学術会議ではなく自民党です。みんなで自民党政権を終わらせ、自民党を解散に追い込むほどの闘いをしましょう。

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