安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
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福島県知事選に思う/「内堀知事得票率91.2%」の絶望

2018-11-04 21:45:02 | 原発問題/一般
福島県知事選開票結果(2018.10.28投開票)


 10月28に投開票された福島県知事選挙は、現職・内堀雅雄候補が91%の得票で再選された。民主主義国家のいわゆる「自由選挙」で特定候補への票の集中が9割以上というのは異常であり、現在の福島県内のファシズム的言論抑圧状況の反映であることはいうまでもない。

 知事選がこんな「凄惨」な結果になった原因は言うまでもなく、そして中央政界レベルでの課題と同じだが「まともな野党がいない」ことに尽きる(念のため申し上げておきたいが、当ブログにとっての「まともな野党」とは、自民党に代わって今すぐ政権を担当できる政党という意味ではない。自民党、またはその系列の地方自治体首長に対し、厳しくチェック・批判・監視し、自民党に緊張感を持たせられる健全な批判政党という意味である。自民党政権に対し、きちんと対峙できる野党なら、別に政権など目指さなくてもかまわないというのが当ブログの基本的立場である)。

 自民党と一緒に内堀県政与党として相乗り支援した立憲・社民に関してはコメントする価値もない。55年体制が壊れたとき、自民党はそれほど退潮せず、社会党だけが勢力を大幅に減らして退潮したのは、中央段階で自民党と対決する振りをしながら、地方で「オール与党」として自民党と相乗りしていく「欺瞞」を有権者に見透かされたからである。立憲が最近になって大幅に支持率を落としているのも同じ理由で、地方で自民と相乗りを繰り返す立憲が自民党政権に対する健全な批判勢力となり得るどうか、有権者に迷いが生まれているからである。

 共産党は、町田候補がわずか4.9%しか得票できず、供託金没収の惨敗に終わった。こちらも内堀県政の対抗軸になるのに失敗したが、当ブログの見る限り、これは当然の結果といえる。「年間100mSvの被曝でも健康に影響はない」と、御用学者と同じ主張(注)をしている福島医療生協・わたり病院の斎藤紀(おさむ)医師らを積極的に容認し、同じ共産党系医師からの内部批判(2015年)にも答えず、逆に被曝の健康被害や避難を主張する人々を「福島差別主義者」と決めつける「しあわせになるための福島差別論」(かもがわ出版)を自称「社会学者」開沼博氏らと一緒に出した。この本の共著者でもあり、共産党系と目される福島大・S教授に至っては、県民健康調査検討委員会委員として原発事故の甲状腺がんとの因果関係否定を続けるばかりでなく、毎年3月に開催される福島県民集会の実行委員としても「健康被害、被曝や避難を口にする登壇者は直ちに発言を中止させ、県民集会から締め出す」などと裏で恫喝し続けてきたとする証言さえある。

 メディアには共産党惨敗の原因を「県委員会による町田候補の擁立作業の遅れ」に求める論調があるが、当ブログは決してそうは思わない。このような行動を繰り返す連中を積極的に容認し、泳がせ続けてきた共産党福島県委員会はどう見ても「ニコニコしている人に放射線(による健康被害)は来ません」と言い放った「ミスター100ミリシーベルト」山下俊一・長崎大教授と同列だ。これらの言動は明らかに、被曝の恐怖から解放されたいと願っている心ある福島県民への明確な敵対であり、「左からの言論抑圧」を権力と一体となって作り上げる犯罪行為と言うべきである。安倍政権と内堀県政の「復興」批判で悪政の対抗軸になれるとの県委員会の判断があるとすれば重大な政治的誤りであり、福島県民は健康被害もみ消し政策との対決を避け、むしろ加担した共産党にも厳しい審判を下したのである。この面だけに関して言えば、「ふくしま共同診療所」をつくって福島県民の健康不安に一定程度、応えようと試みた某新左翼政治党派のほうがずっとマシである(みずからの政治的主張を暴力主義的に実現しようとする方針は容認しないが)。福島県民の健康被害、健康不安ときちんと向き合おうとする姿勢が共産党に少しでもあればここまでの大惨敗にはならなかったに違いない。

 今回の選挙結果は、内堀「独裁体制」下で徹底的に抑圧されているが、福島県民の要求が「健康不安への対処」であることを逆説的に示すものとなった。福島県民の健康被害、健康不安に寄り添うことを訴える候補が2人もいた4年前と異なり、健康被害との対決を訴える候補が誰ひとりいなかった今回の知事選は、その意味では真の悲劇である。全政党、全候補者が敗者であり政治的勝者がいないことは、45.04%の低い投票率に余すところなく示されている。私がもし独裁国家の「選挙」を取材している欧米メディアの記者だったら迷わずこう書くだろう。「フクシマ王国では、内堀国王の独裁体制に抗議の意思を示すため、国民の半数以上が投票をボイコットした」と。

(注)科学の目でリスク見つめ、被災者全体の連帯めざす・・福島の医師として今伝えたいこと 福島医療生協・わたり病院医師 齋藤紀さんに聞く(「赤旗」2015.3.22付け)に詳しい。このような内容が赤旗に掲載されたこと、この記事を誇らしげに掲載しているリンク先のページが共産党嶺南地区委員会(福井県)であることも付記しておく。10基の原発がある福島県と並んで、14基の原発と「もんじゅ」を容認し、原発に毒されてきた福井県でこうした誤った記事が共産党から積極的に配信されていることを、当ブログは偶然とは思わない。

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