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ストリングスとギターを聴かせるジャズ寄りのMPB

2016-02-10 10:57:28 | 音盤ノート
Toninho Horta "Toninho Horta" EMI/Odeon, 1980.

  MPB。トニーニョ・オルタは、"Clube Da Esquina"にも参加した1948年生まれのブラジル人ミュージシャンで、このアルバムは二作目となる。ボーカルは訥弁(押しが弱いだけで下手ではない)だが、エレクトリックギターによる単線的なソロは流麗かつ鮮やかである。演奏の比重が高くて収録曲10曲中4曲はインストである。

  ミナス系らしく、少々郷愁を感じさせる明るいメロディをスケール感豊かにゆったりと聴かせる。ストリングスもかなり活躍しており、6曲目などの情緒過剰な盛り上げ方はメロドラマ映画のサントラみたいだ。ほとんどの曲において打楽器はリズムを表示するだけで控えめであるが、冒頭1曲目の'Aqui, Oh!'だけサンバ系打楽器隊が大胆に入ってきて盛り上がる。ゲストとして5,10曲目でPat Methenyがギターを弾いている。その10曲目はLo Borgesとのデュエット曲でもある。全体としては、インスト曲はジャズ~イージーリスニング、ボーカル曲はアダルトコンテポラリーという印象である。

  Antonio Carlos Jobimの本人歌唱アルバムと初期Pat Metheny Groupが合体したような作品、と記して伝わるだろうか。演奏はしっかりしている。訥弁ボーカルが美メロを歌いあげる、ということを抵抗なく受けとめられるかどうかで評価が分かれるかもしれない。優れた作品であることは確かだが、ボーカルがMilton Nascimento級だったらもっと良くなっただろうと思わないでもない。
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