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佇まいは質素だが、よく聴くと細部まで造りこまれた渾身のアルバム

2015-11-26 15:24:17 | 音盤ノート
The Sundays "Blind" Parlophone/Geffen, 1992.

  前回の続き。活動停止中の英サンデイズの二作目。所属していたレコード会社Rough Tradeが潰れた後の、移籍後の録音。日本盤のみローリングストーンズのカバー‘Wild Horses’がボーナストラックとして収録されている。曲のクオリティに関しては、本作が三作品の中で一番良いのではないだろうか。

  一作目と基本路線は同じで、まとわりつくようなギターアルペジオと、控え目な音量でシャンシャン鳴らされるコードストロークがこれでもかと繰り出される点は相変わらず。ただし、録音にはそれなりの工夫が凝らされている。第一に、オーバーダブを多用している。一作目は一発録りかのようなシンプルな演奏だったが、この作品はギターもボーカルも複数のパートが重ねられているのが一聴してわかる。第二に、ギターにもディーストーションやリバーブなどのエフェクトがかけられていることが多く、この点も前作と異なる。前作のイメージからなんとなく地味な印象をもちそうだが、注意して聴いてみるとけっこうきらびやかで、音数の多いアルバムである。一見して貧乏そうなのに、近づいて着ている服のブランドを確認してみるとけっこう豪華だった、というような。

  ネオアコまたはフォークロックに入る音ではあるが、ギターに内向的なサイケデリック感があるのが1980年代英国インディーズっぽいところ。1990年代に活動していたけれども、当時すでに時代遅れな印象を与えていたのもそのせいだろう。このアルバムの発表後にはブリットポップの時代がきた。今聴くならばそんなのはもう関係無いのだけれども、本人たちにとってみれば時代の巡りあわせが良くなくて、居心地は悪かっただろう。

  
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