大阪歴史博物館学芸員の酒井一光さんの著書「窓から読みとく近代建築」を読了しました。小説やら新書やら3~4冊を同時に読んでいたので時間がかかってしまいましたが、豊富な写真と共にかなりの文章量がある力作で私には読み応え・手応え十分でした。
窓を切り口にこれだけ詳細に記載された本を読んだのは初めてでした。内容は難しすぎず・平易過ぎず、文章も硬過ぎず・柔らか過ぎずで、とてもいい塩梅だったと思います。
私は大学は建築系ではなかったので建築の教科書的な本を読んだことがなく、これまでは写真集的な本や写真の多い単行本などを好んで読んでいたのですが、この本は一般の読者にとっても、知識を得ることと楽しむことの両方ができる内容になっていると思いました。
これからは、今まで以上に窓のことを考えながら探訪したいですね。
最初、写真を中心にサーッと通読(通見?)、次に、なじみのある近畿の建物について触れられたページを中心に読み、最後に、特に興味を持った部分を中心に精読しました。全ページを精読したとは言い切れないのですが(スミマセン)、一応読破ですね。
その他の感想あれやこれや:
口絵の写真は説明文が付いていることもあってやや小ぶりでした。余白を広くとって見やすいのですが、個人的には、ドドーンと大判写真でも良かったかなという気も。
各ページの上部には写真と共に脚注がズラーッと記載されていました。いちいち後ろを見なくても良いので確認するのには便利でしたが、最初、本文をサーッと通読しようとしたときに、どうしても脚注に目がいってしまい、なかなかスピードが上がりませんでした。
これは単に私の読み方の問題ですね(^_^;
近畿、特に京阪神、中でも大阪の建物が多数紹介されていたこと、大阪にゆかりの深い安井武雄・村野藤吾(ご両人とも建築界の巨人ですが・・・)が大きく取り上げられていたことが大変嬉しく、親近感を持って読みました。
南海ビルディング(高島屋本館)は大物の割には取り上げられることが比較的少なく、「一棟の建物におけるテラコッタ使用量としては日本一といわれる」などは初めて知りました。メリヤス会館、石原ビルなどが取り上げられていたのもユニークでした。
付録の窓事典にも写真が満載で、きちんと建物名が書かれていたのも好ましく思いました。当然といえば当然のような気もしますが、親切・丁寧と感じましたね。
【少ーし疑問&注文です】
本文の一番最後で「商船三井築港ビル」が紹介されたのだから、もう10m左にも寄って「天満屋」も大きく取り上げて頂きたかったなあ・・・なんてことも思いました。付録の窓事典にはちらっと出てきているのですから。何か理由があったのかな?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます