国家の第一は民主主義である。美しさとか品格はまやかしの国家論である。新聞に掲載されている論文を中心に批判する。
品格より民主そして自由
名護市長選に興味はない。誰が市長になっても辺野古基地建設は確実に進むからだ
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名護市長選に興味はない。誰が市長になっても辺野古基地建設は確実に進むからだ。
1月16(火)のタイムス社説「[名護市長選]『辺野古』の是非を語れ」には苦笑するしかない。
タイムス社説は、今度の名護市長選の最大の争点は辺野古移設問題だというのである。それはとんでもないことである。辺野古移設問題は8年前に決着がついているのだから選挙の争点にはならない。
2006年に島袋元名護市長が辺野古移設を了承し、政府と確約を交わした。2009年に仲井眞前知事は辺野古沿岸の埋め立てを了承した。そして、2010年には管元首相が辺野古移設を最終決定した。8年も前に辺野古移設は決まったのである。
安倍政権は辺野古移設が決まったから、辺野古基地建設予定地の埋め立て申請を県に提出した。埋め立て申請を県は承認した。県が承認したから埋め立て予定地のボーリング調査をした。ボーリング調査が終わったから、現在は埋め立て工事をやっている。国は政治的にも法的にも辺野古移設は着実に進めてきた。辺野古移設を阻止することは名護市長にはできないのが当然である。
2006年に島袋前市長が辺野古移設を承認したのだから、後続の名護市長が反対しても辺野古移設移設承認を取り消すことはできない。できないから、8年前から辺野古移設反対を主張する稲嶺市長になっても辺野古移設を阻止することはできなかったのだ。名護市長には埋め立て工事を止める権限はないし、移設を止める権限もない。8年間稲嶺市長が移設を止めることができなかったことがなによりの証拠である。
8年間の過去を見れば、
「海にも陸にも新基地を造らせないことを前面に出し、市民の審判を問いたい」と公約した稲嶺氏が再々当選したとしても辺野古移設を止めることができないことは明確である。
3年前には辺野古移設反対の翁長氏が県知事になり、衆議院選挙でも辺野古移設反対派が小選挙区で4人全員が当選した。
県知事、名護市長、衆議員全員が辺野古移設反対を選挙公約にして当選したのに辺野古移設を阻止することはできなかった。稲嶺市長が再々当選しても辺野古移設反対の勢力は同じである。いや、去年の衆議院では反対派は4人から3人なったから、一人少なくなったから勢力は弱くなった。
勢力は弱くなったのだから稲嶺市長が再び当選したとしても阻止するのができないことははっきりしている。誰が市長になっても辺野古移設には関係のないことだ。だから、私は名護市長選に興味がない。
実は沖縄二紙は、辺野古飛行場建設工事がどんどん進んでいる記事を毎日掲載している。
1月25日(木) の沖縄タイムス記事では、
「「K1」からくの字に折れ曲がって延びる「K2」は、24日時点で約30メートルの長さ。抗議の市民によると、最近は1週間で20~30メートルのペースで護岸の建設が進んでいるという。海上から現場の様子を見た男性は『このままいけば、今夏には護岸で海が囲われてしまう』ともどかしそうにした」
と書いてあった。
海(埋め立て予定地)が囲われれば土砂による埋め立て工事が始まるということである。
沖縄二紙は移設反対派に寄り添う報道をしているが、同時に埋め立て予定地の建設がどんどん進んでいることも報道している。反対派が建設工事を止めることができないことへの嘆き節も報道している。
沖縄二紙を読めば、稲嶺市長が再選されても辺野古の埋め立てを止めることはできないことがはっきりと分かる。
誰が当選しても辺野古移設工事を止めることはできない。名護市民ではない私は辺野古移設工事が進み、普天間飛行場が移設できればいいと考えているから、辺野古移設に関係のない名護市長選には関心がないといってもいい。
自民党、公明党は渡具知武豊候補を、共産党、社民党、社大党、翁長知事派は稲嶺市長を当選させたいだろう。当然のことである。
稲嶺市長を当選させるためには辺野古移設を阻止することができるか否かは関係なく、辺野古移設反対の主張を盛り上げて名護市民に訴えるのが最高の選挙戦術である。辺野古移設問題以外を選挙の争点にすれば稲嶺市長が不利であるのははっきりしている。だから、稲嶺市長派は辺野古移設問題を争点にするのである。
名護市長選で辺野古移設問題は誰が当選しても政治的には左右されないが、選挙を左右させることはできる。多くの名護市民が辺野古移設反対の気持ちになれば稲嶺市長が再選されるのは確実である。
稲嶺市長を再当選させたい沖縄二紙は選挙が辺野古移設を左右しないという事実を伏せて、名護市長選の最大の争点は辺野古移設の是非であると大きく報道する。そして、稲嶺市長の対立候補である渡具知氏が辺野古移設の是非を語らないのは、争点化を避ける戦術なのだろうと批判するのである。
沖縄二紙が本当は政治問題ではないのに政治問題であるように見せて辺野古問題を取り上げるのは、稲嶺市長を当選させるための選挙戦術なのである。
沖縄二紙が辺野古移設問題を名護市長選の争点にするのは分かるが、ほとんどのマスコミが名護市長選は辺野古移設が争点であると報じている。呆れてしまう。
琉球新報
「名護市長選あす告示 新基地争点に激戦へ 市議補選も」
毎日新聞
「名護市長選 辺野古移設巡り 激戦」
朝日新聞
「名護・稲嶺市長、3選出馬表明 普天間移設『断固阻止』」
時時刻刻
「辺野古問い、与野党総力」
東京新聞
「名護市長選まで1カ月 沖縄知事選の前哨戦に」
どの新聞も、誰が市長になっても辺野古移設は確実に進むというのを書いていない。辺野古移設が争点になると書いている。マスコミは事件や争いが記事ネタになるから好む。スキャンダルやゴシップや不倫を好むのがマスコミだ。市長には辺野古移設を止める権限がないという法律があることなんかには目もくれないで、辺野古移設が与野党の激しい争点になるような記事を書くのである。バカバカしいマスコミ報道である。
せめて、八重山日報は誰が市長になっても辺野古移設が左右することはないと書いてほしかったが、
「辺野古移設争点、激戦へ」
とあたかも、稲嶺市長が当選すれば辺野古移設が阻止できるようなイメージの見出しである。これでは、稲嶺市長を当選させようとしている沖縄二紙と同じである。残念である。
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