普天間基地のグアム移設問題について




「戦前、米軍がグアムにいたから日本軍の侵略を招いたのであり、また日本軍がグアムを占領していたからグアムは戦場となったのである」という発言は日本だけでなく沖縄の人間にとっても痛烈な発言である。
沖縄はサイパンなどの南方の諸島に移民した。南方への移民は現地の人間を日本軍が排除し、島々を植民地にしたところに沖縄の人々が移民したのだ。
「戦時中に日本軍人がチェロモ人を虐殺した」ように、日本軍はフィリピン、サイパンなどの南方の島々でも現地人を虐殺しただろう。私の父は南方に出兵した。多くの沖縄人も南方に出兵している。そのときには沖縄の人間も日本軍のひとりである。沖縄の人も日本軍として現地人を虐殺しただろう。沖縄も南方の人々に謝罪をしなければならない立場にあるが、それをやっていない。


松島氏はチャモロ人と沖縄人は同じ状況に置かれているというが、それは微妙に違う。沖縄人は普天間ヘリコプター基地をグアムの状況を無視してグアムに移転するのを主張している。沖縄人にとってグアムの人たちがアメリカ軍基地の被害を受けても平気である。沖縄人にとってグアムはアメリカ軍基地の移転のために存在する地理的な存在なのであって、グアムに人間が住んでいるか住んでいないかは関係のないことである。

ナティビダド氏のよう思想を持つ団体と協力関係を結ぶと、普天間ヘリコプター基地のグアム移転に反対しなくてはならない。沖縄の基地撤去を主張する人間たちは普天間ヘリコプター基地のグアム移転を望んでいるのだから<ナティビダド氏と協力関係を結ぶわけにはいかないだろう。

松島氏は「チャモロ人は沖縄人と同じように、「日本軍による虐殺、多くの住民の死傷」という経験をしたと述べているがチェモロ人と沖縄人の立場は違う。沖縄は沖縄県として日本の一部であった。沖縄人は法的には日本人であった。多くの沖縄人が日本のために戦い戦死した。そして、天皇陛下ばんざいと叫んで集団自決もした。集団自決が日本軍の強制であったと主張している多くの人々がいるが、もし集団自決が日本軍の強制だとしても集団自決は日本人としての沖縄の人々に強制したものであり、虐殺とは内容が違う。沖縄で日本軍によって虐殺されたのは、アメリカのスパイとして疑われた性であった。だから、沖縄ではグアムのような虐殺は起こっていないといえる。

グアムなどの南方での現地人虐殺の場合は、沖縄人は日本軍の一員として加害者の立場になってしまう。松島氏は沖縄に同情したために加害者としての沖縄を見逃してしまっている。

松島氏は「沖縄もグアムと同じように、住民の意思に反して基地が押し付けられている」から、沖縄とグアムは脱植民地を目指して一緒に闘えると思っているが、それは難しいのではないか。
沖縄の軍事基地撤去運動は普天間ヘリコプター基地の「県外移設」か「グアム移転」を目指している。それが基地撤去を求めている沖縄人の悲願である。沖縄の軍事基地撤去・反戦平和運動は沖縄たけを平和にするというものであり、口では世界平和をめざしているように言うが、実際は世界平和をめざしているものではない。「県外移設」と「グアム移設」を主張している沖縄の基地撤去運動は「世界の民主化の動きと連動」することはない。沖縄の共産党、社大党、社民党などの左翼系政党にとって松島氏の主張はむしろ困った主張である。
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