郵政民営化で構造改革はスピードを増す

 郵政民営化法案に反対する政党や議員は法案の内容以外の理由で反対しているのは選挙戦が進むことによって明らかになった。

 自民党の郵政民営化反対の議員の大集会に集まる支持者のほとんどが大樹の人間であり、必ず郵政族のドン野中が応援演説をしている。郵政民営化に反対する族議員の反対理由は根拠がない。根拠のないことを明らかにしよう。

1、過疎地から郵便局がなくなる。
 手紙やハガキはポストを設置すればいいし、小包なら電話で自宅に呼ぶことができる。過疎地でも郵便についてはなんの問題もない。

  売店さえない過疎地にも郵便局はなくてはならないものか。売店がなければお金は必要ない。孫にお金を振り込むじいさんやばあさんが一日に一人や二人しかこない郵便局さえなくしてはいけないのだろうか。

  もし売店がある過疎地なら売店が郵便局の窓口業務をすればいい。ATM機を設置する方法もある。現在でも簡易郵便局があるし、売店や酒店などが郵便の代理業務をやっている。スーパー等で銀行の代理業務ができるように銀行法を改正しようとしている。その法案ができれば過疎地の売店でも銀行の代理業務ができる。

 郵政民営化は過疎地から郵便局がなくなるというのは嘘っぱちである。

2、郵貯がアメリカのハゲタカの餌食にされる。

 株式会社の仕組みと、国際的ヘッシファンドの基礎的な知識がある人にとってはバカらしい理屈である。
 郵貯がアメリカのハゲタカの餌食されるのは2通りある。ひとつは貯金が餌食されることであり、ふたつめは郵貯株式会社が餌食されることである。

 まず貯金が餌食されるパターンとは具体的に言えばアメリカ国家が発行する国債を郵貯銀行が買うことである。例えば郵貯の200兆円でアメリカの国債を買えば200兆円がアメリカに流れ、200兆円がアメリカのやりたい放題に使われるということだ。
 そのような理由で郵貯の金がアメリカの餌食にされるという理屈はおかしい。国債というのは一番安心できる金融商品である。アメリカ国家が崩壊しない限り、国債の利子は確実に払われるし、元金も確実に戻ってくる。国債の利子がもし0.3パーセントとすると年に600億円の利子収入が郵貯銀行に入ってくることになる。
 そもそも、郵政公社の収益は国債であり、国債があるから郵政公社は黒字を保っているのだ。国債がなければ郵政公社は破綻状態になっている。

 もうひとつのパターンは郵貯銀行が長銀のように破綻して、アメリカのハゲタカに長銀のように安く買い叩かれて、アメリカのハゲタカに乗っ取られて貯金がハゲタカのいいようにされるということだ。
 この話は笑い話である。まず、郵貯銀行が破綻しても貯金1000万円は保証されるから預金者に損はない。郵貯銀行が破綻してアメリカのハゲタカのものになり、ハゲタカの所有する郵貯銀行が嫌いであれば貯金を全額下ろしてしまえばいいことであって、郵貯銀行に貯金した人にとってなんの損もなければ痛みもない。

 ハゲタカとはヘッジファンドのことである。確かに長銀はアメリカのヘッジファンドに買収されて新生銀行になった。それでは新生銀行の社長や行員はみんなヘッジファンドが派遣したアメリカ人であるのか。いえいえ、社長は日本人です。行員も日本人です。長銀を買収したヘッシファンドは倒産した企業を買収して再生させた後に株を高く売って利益を得る企業再生屋です。

 郵貯銀行が倒産するというシナリオは強引すぎる。長銀が倒産したのはバブル期の反動と、駄目な経営者が自己保身のために莫大な不良債権を隠し続けたことにある。現在は不良債権を隠すことはできないし、経営状況も金融庁に報告しなければならないようになった。銀行の健全化を推進してきたのが小泉政権であるのだから郵政を民営化して倒産させるシナリオなんて作るわけがないし株式会社になれば政治家が簡単に介入することはできない。全株を国が所有していても同じである。NTTを見れば分かる。国としては郵貯銀行の経営がうまくいき税金を納め、株が高く売れることを望むのが当然である。

 ヘッジファンドにも色々あります。株を売買するヘッジファンドもあります。そして注目すべき点はヘッジファンドの資金は投資信託で集めた金や銀行に貯金した金が大部分であり、一部の資産家の金が占める割合は小さいということです。

 郵政を民営化するということは経営を健全化するということです。郵貯銀行株式会社になれば銀行法が適用され、より厳しい監視下に置かれ、官僚の天下りは不可能になり、郵政族議員が関与することはできなくなります。利権でのうのうと暮らしている特定郵便局も民間経営の理論(働かざるもの食うべからず)で合理化されるだろう。
小泉首相は貯金の上限は設定しないし、現在の郵便局はひとつも失くさないで民営化すると言いました。現在の郵便局を維持したまま民営化するのは民営化する意義がないなどと反発した野党議員もいたが、野党議員は民営化の意味を知っていない。民営化すれば自動的に必要のない特定郵便局は閉鎖される。

 自民党の最強の圧力団体であった郵政族と構造改革の最強の壁であった郵政族議員を排除することによって構造改革のスピードは確実にアップするだろう。郵政族議員、道路族議員、厚生族議員、農林族議員の族議員はみんな同じ釜の仲間であり裏で官僚を支配しているのも彼ら族議員である。
 最大最強が郵政族であったから、族議員の権力が弱くなれば正比例的に官僚の反抗も弱まる。
 
 今度の総選挙だけは小泉自民党が圧勝してほしい。小泉自民党が圧勝すれば民主党も連合のような圧力団体を排除する決心がつくだろう。特定の団体と選挙協力をしないで、国家全体を見据えた政治をすることの象徴が今回の小泉政治である。民主党もそのような政党になれば、ダイナミックな二大政党時代が築けるだろう。

 今回の小泉首相が仕掛けた総選挙は政治家の意識変革にもなった。郵政民営化反対の議員を非公認して、全ての選挙区に郵政民営化賛成議員を立候補させたのは強引すぎるが、政党は人間の慣れ合いではなく政策中心であるべきであるという強烈なメッセージを国民に送ったのである。
 多くの国民が今度の選挙に関心を持ったのは政党政治のあるべき姿を小泉首相が提供したからであって、小泉劇場とか落下傘候補とかマドンナ候補とかというものは瑣末的なものである。
 もし、今度の総選挙が派閥政治の延長であったら小泉劇場、落下傘候補、マドンナ候補の選挙をやっても国民の関心は薄れていたはずである。

 
 
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