リチャード元米統合参謀本部議長と我部政明琉大教授のずれ








リチャード・マイヤーズ元米統合参謀本部議長は、「私が新たなリーダーだ」とアピールするかもしれないが、周辺国との衝突が起きそうな兆候は見られないと北朝鮮の状況を語り、中国を訪問して外務省や共産党の幹部とも話して中国の状況を調べている。
台 湾の選挙線については、「中台関係が緊張するのではないかとの懸念もあったが、和らいだ」と中国と台湾が有効な関係を保ったことに安堵している。

リチャード・マイヤーズは中国の軍事力の強化とアジアに対する影響を気にし、中国の南シナ海や東シナ海、尖閣諸島の問題にも関心を持ち、米のアジア戦略であるエア・シー・バトル構想について語っている。「一つのチームとして運用力を高めようというのがエア・シー・バトル構想だ。中国を『封じ込める』戦略だと言う人もいるが、正しい見方ではない。目的はむしろ、信頼性の高い軍事力を提示することにある。『弱さ』は相手の挑発行為を誘発する。迎撃されると知っていて領空侵犯する者はいない。エア・シー・バトル構想の狙いは抑止力そのものだ」と現在海兵隊がアジアで行っている作戦の目的も語っている。

 海兵隊はフィリピン、カンボジア、タイなど中国と国境を接している国々に出かけて、その国の軍隊の実践力を高めている。軍事力を高めることによって中国の侵略を防ぐ戦略だ。アメリカ軍が直接中国を抑止するのではなく、中国の周辺国と協力して中国の侵略をくいとめるのがアメリカの戦略である。だから、沖縄の海兵隊はアジアに出かけて沖縄を留守にする。海兵隊は沖縄を拠点にしてエア・シー・バトル戦略をアジアで展開しているのだ。

チャード・マイヤーズ氏が北朝鮮、中国、台湾などアジアの現状について語っているのに、我部政明琉大教授は、「1970年代から返還の話がありながら進展していない問題で、時期が明示されるまでは成果ではない」と古い話を持ち出してアメリカと日本政府を批判している。我部政明氏はアジアを見ないでアメリカと日本政府だけを見ているから、「時期が明示されるまでは成果ではない」と言えるのだ。中国、北朝鮮と他のアジアの国々とは緊張関係が続き、明日のアジアが平和であると保障できないから沖縄の基地の返還の時期を明示できないのだ。

アジアの政情は安定していない。いや、アジアの政治は危険を含みながら常にうごめいて変化している。だからリチャード・マイヤーズ氏は北朝鮮の動きに注目し、中国に行って中国の首脳と対談し、台湾の総統選と中国の反応を見ているのだ。
ところが、我部政明琉大教授はアジアの現在の情勢よりも、「1970年から返還の話はありながら・・・・・」とか「米国は50年代から『ブルースカイ』という言葉を使ってきた・・・・」と昔の話を持ち出している。沖縄は米軍基地の被害はあったが、戦争は起こらなかった。他国から攻撃されることもなかった。
朝鮮戦争で数百万人が死に、ベトナム戦争があり、カンボジア内戦あり、今もチベットでは民主主義社会になるのを要求して僧が焼身自殺をしている。アジアの他の国々に比べると沖縄は戦争危機はなく平和であった。

アメリカと日本政府を睨んでいる我部政明琉大教授はアジアに背中を向けて、アジアの不幸に振り向きもしない。我部政明琉大教授は「そもそも、沖縄の海兵隊は、アフガニスタンなどの戦地に行っていたり、アジア太平洋地域を巡回していたりで、常に半数近くの隊員が沖縄にいないとされる。兵員の実数はもともと曖昧だ」と沖縄の海兵隊はいつもお沖縄にいないことに文句をいう。でも、海兵隊は理由もなく沖縄に駐留しているのではない。アメリカ軍はアジアでのどかに過ごしているのではない。

沖縄の海兵隊はアジアが戦争状態にならないように国と国の紛争が起こらないように戦略をたて、戦術を実行している。中国の圧力を受けている弱小国の軍隊を強くするために沖縄の海兵隊はアジアの国々に出かけている。「常に半数近くの隊員が沖縄にいない」のにはちゃんとした理由があるのだ。

「米国が極東地域における中国の軍事的台頭を懸念していることは事実だ。しかし、その懸念を払拭するために、沖縄の海兵隊が必要という主張は、海兵隊の伝統的任務が『敵前上陸』であることを考えれば説得力を感じない」と「海兵隊の伝統的任務」というまたまた古い話を持ち出して「説得力を感じない」と言い切る。

アジアの軍隊で実践を経験しているのはアフガン・イラク戦争を体験したアメリカの海兵隊である。戦争は生死がかかっている。戦争を体験した者でしか分からないことがたくさんある。海兵隊は自衛隊やオーストラリアやアジアの軍隊に一緒に訓練をしながら彼らの優れた戦争技術を伝授している。
「実践を戦っている海兵隊から、感覚、マナー、技能を修得したい。実践に基づく知識というものを吸収できるというのは大きなメリットと考えています」前田忠男一等陸佐
「我々はいかなる作戦も単独ではなく、パートナーと一緒に行うつもりです。一緒に訓練し、お互いに学びあうことは様々な国の軍隊と一緒に作戦を行えることを示す裏づけにもなります。・・・・・・我々はパートナーなしでは戦えないのです」 コフマン大佐
                  「基地はなぜ沖縄に集中しているのか」より

戦争の形も内容も時代とともに変化していく。見えない敵。市街戦。仕掛け爆弾。自爆、ジャングル戦等々、今の戦争はテロとの戦いだ。『敵前上陸』なんていつの時代の話なのだ。時代錯誤もはなはだしい。

今、海兵隊がアジアで行っている戦略は、中国の周辺国の軍事力を強くして、中国が紛争を仕掛けてこないようにすることだ。紛争、戦争を未然に防ぐために沖縄の海兵隊はアジアに出かけている。海兵隊のアジア戦略は沖縄が拠点である。拠点の沖縄に海兵隊のヘリコプター基地は必要だ。

アメリカが兵士9000人のグアム移動、嘉手納飛行場以南の米軍基地の撤去と辺野古移設をパッケージにしたのはどうしても海兵隊のヘリコプター基地が必要だったからである。アメリカの目的は海兵隊員9000人のグアム移動、嘉手納飛行場以南の米軍基地の撤去ではなく、普天間基地の辺野古移設だったのだ。

アジアに背中を向けているためにアメリカの真意も知らないで、「しかし、普天間の危険除去は96年の合意以来、米軍再編問題の要である」とアメリカの考えとはかなりかけ離れたことを我部氏は言い、「引き続き、普天間の行方が問題解決の鍵を握っている状況に変わりはない」と共産党一党独裁の中国が存在する限り、沖縄にヘリコプター基地を設置しないわけにはいかないアメリカの事情を我部氏は全然理解していない。

アメリカ人のリチャード・マイヤーズ氏のほうがアジアの政情に詳しくアジアに紛争や戦争が起こらないように考えていて、アジア人の我部政明氏はアジアに背を向けてアメリカや日本政府に文句を言っている。
二つの記事は琉球新報の三面に掲載してあった。同じページにアメリカ人と沖縄人の妙なずれのある記事が載るのも新聞ならではだな。
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