バイン准教授批判



 
 バイン准教授は、メア氏が「沖縄の人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人」などと発言したことについて「差別や植民地主義、優越感のようなものに基づく考えだ」と述べている。メア氏は妻が日本人であり日本通として知られている。そんなメア氏がなんの根拠もなしに「沖縄の人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人」と発言するはずがない。
 辺野古の地方ボスは、普天間飛行場を辺野古に移転する条件として、各家庭に一億円をあげるのを主張した。嘉手納町長は嘉手納ロータリーを300億円規模の開発を実現するために、嘉手納飛行場返還を主張して日本政府を揺さぶった。軍用地主会のボスは地料を上げないのなら基地返還を主張すると日本政府を脅している。嘉手納町長や軍用地主会は本気で基地返還する気はないのに、基地返還を主張すれば日本政府を揺さぶることを知っているから、日本政府を脅すためにやったのだ。このようなやり方を沖縄の市町村長や地方ボスはよくやる。
 メイ氏のいう「沖縄の人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人」というのは嘘ではない。事実だ。ただ、メイ氏は沖縄の人と述べているが、正確に言えば「沖縄の人」ではなく「沖縄の一部の人」である。
沖縄にも基地賛成する人と反対する人がいるから、「沖縄の人」とひっくるめることはできない。政治は昔から保守系の政治家と革新系統の政治家がいる。保守系は資本主義や軍隊を認めているが革新系は社会主義の傾向が強いし軍隊を認めない。保守と革新は水と油である。保守系の人をさすか革新系の人を指すかで違う「沖縄の人」になる。
メイ氏がいうように沖縄の人みんなが「日本政府に対するごまかしとゆすりの名人」であるのではない。保守系の一部の人が「日本政府に対するごまかしとゆすり」行為をする。そのような層の沖縄人は反基地運動を利用して政府から金を引き出そうとする。市町村長や地方ボスにそのような人間は多い。

 バイン准教授は、「問題の根っこに米国が沖縄を占領した歴史がある。限られた数の米政府の人間が占領者として沖縄の中で力を持った。本土復帰後も、米国が県民に対して持っている権力の構造は代わらない」と述べている。バイン准教授は学者として決定的な過ちを犯している。学者は客観的な事実をねじまげてはならないし、事実は正確に認識しなければならない。バイン准教授は、米政府には差別や植民地主義、優越感のようなものに基づく人間がいると指摘して、「限られた数の米政府の人間が占領者として沖縄の中で力を持った」と述べている。
しかし、沖縄に派遣する人間は米政府が決める。米政府全体が差別や植民地主義の人間だけで固まっているのなら、差別や植民地主義の米政府の人間が沖縄に派遣されて沖縄を管轄することになるから「米政府の人間が占領者として沖縄の中で力を持った」ということはあり得ることである。しかし、 バイン准教授は米政府の一部に差別や植民地主義の人間がいると述べている。沖縄に派遣するのは米政府である。そうであるならば差別や植民地主義の人間が沖縄に派遣される可能性は小さい。メア氏が差別、植民地主義であったとしても、米政府内では少数派であり、少数派がいつも沖縄に派遣されることはあり得ないのだ。だから、「限られた数の米政府の人間が占領者として沖縄の中で力を持った」という理屈は成り立たない。バイン准教授のいうような米政府内の「構造的な問題」であるという認識を持つのは間違いである。
 
 「米政府の人間は、他の世界の人間や社会に対して優越感がある。さらに人種差別などが絡み合ったものが背景にある」とバイン准教授は述べているが、今のアメリカ大統領は黒人である。黒人のオバマ氏が大統領になったのに、バイン准教授は米政府の人間は人種差別をしているというのだ。それは暴言だ。
バイン准教授は、「本土復帰後も、米国が県民に対して持っている権力の構造はあまり変わっていない」と述べているが、沖縄は本土復帰してから日本の法律が沖縄にも適用されている。憲法、法律の適用は本土も沖縄も同じである。復帰前は民政府が権力を握っていたが、今は日本政府が握っている。権力の構造は大きく変わった。



 アメリカ人は沖縄で犯罪を犯しても本土で犯しても同じ法の下に裁かれる。沖縄では罪が重く本土では軽くなるということはない。 日本平和委員会の調べでは米軍関係者の刑法犯の起訴率は沖縄県が16,2%、全国の起訴率11,7%w@である。起訴率は沖縄のほうが高い。「本土復帰後も、米国が県民に対してもっている権力の構造はあまりかわっていない」というバイン准教授の意見は統計で見ると間違っている。バイン准教授は沖縄の現実を調査しないで先入観で意見を述べているということがわかる。
 人種差別は南アフリカのアパルトヘイトのように国家が法律で人種差別をするのと、世間で差別するのがある。復帰前の沖縄ではアメリカ軍族の犯罪はアメリカ軍が裁き、沖縄人の犯罪は沖縄の裁判で裁いていた。アメリカ軍族の人間が沖縄人に傷を負わしたらアメリカ軍が裁き、沖縄人がアメリカ軍族に傷を負わしたら沖縄が裁いた。その事実をバイン准教授が知っているのだろうか。
沖縄にはバイン准教授のいうような人種差別はなかった。しかし、沖縄には人種差別があった。死刑囚永山則夫の元妻は父がフィリピン人母が沖縄人であったが、両親に捨てられた彼女が生活保護を受けようとしたら、アメリカ人とのハーフとフィリピン人とのハーフで支給額に雲泥の差があったという。これは沖縄の法律がフィリピン人や台湾人を差別していたということである。

バイン准教授は「米軍がいることによる悪影響がある」と述べている。それは事実だ。しかし、「悪影響」だけではない。アメリカ軍がいることによっていい影響もある。むしろいい影響のほうが大きかった。いい影響を知るには戦前の沖縄の思想・政治・経済を知り、戦後のアメリカ軍による政治・経済と比較しなければ悪影響、いい影響を正確に知ることはできない。
戦前の沖縄には民主主義思想はなかった。民主主義はアメリカ軍によってもたらされた。戦後の沖縄の政治を三権分立にしたのはアメリカ軍である。琉球大学を創立し、貧しい家庭でも大学に進学できるようにしたのアメリカ軍であり。銀行を創立し、経済発展を指導したのもアメリカである。
アメリカ軍事基地があるために発生する騒音、犯罪、強姦、環境破壊は新聞に掲載されるから問題にしやすい。しかし、政治や経済の発展は目に見えないし、新聞にも掲載されないから人々が認識することは難しい。学者や知識人は目立つ問題だけではなく見えない現実も認識しなければ正しい発言はできない。

バイン准教授は沖縄の上っ面しか認識していない。だから、偏った発言になってしまう。
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