太田元県知事批判・辺野古の現実を知ってくれ





太田昌秀氏は元琉大学長であり元沖縄県知事である。太田氏は沖縄の最高の知識人にして最高の政治家である。太田氏は沖縄の人々に尊敬され、太田氏の発言は多くの沖縄の人々に影響を与える。であれば太田氏は客観的な事実に踏まえて考慮し、自分の発言は責任を持って発言しなければならない。
 
 しかし、残念ながら太田氏は妄想癖があり、現実を無視したとんでもない理論を展開し、超楽観的な将来を描く。「こんな沖縄に誰がした」という太田氏の本を読んでたまげた。こんな荒唐無稽なことをべらべらとよくも書けるものだとあきれた。しかし、内容が沖縄の軍事基地と経済のことであり、太田氏の理論が現在の県事務局に影響を与えているのであれば、あきれただけでは済まされない。

 太田氏は「こんな沖縄に誰がした」で、ハンビー飛行場が返還され民間に利用されたら、雇用が100人から数千人以上になり、固体資産税が357万円から1億9507万円にも増えた事実を参考にして、だから軍用地が返還したら何十倍も経済が発展すると述べている。普天間飛行場はハンビーよりも11倍広いからハンビーの11倍もの経済効果があると述べている。
太田氏は、嘉手納飛行場は成田飛行場の2倍の大きさだが雇用されているのは成田飛行場が4万人以上であるのに嘉手納飛行場は2734人しか雇用されていない。もし嘉手納飛行場が民間空港になったら成田飛行場の二倍の雇用が見込まれると「こんな沖縄に誰がした」で断言している。雇用は飛行機の利用客数に左右される。利用客数が多ければ雇用は増えるし、利用客が少なければ雇用減る。太田氏は飛行場が大きければ大きいほど利用客も多いと考えているが、利用客は飛行場の大きさに比例しない。むしろ利用客が多ければ滑走路を増やし飛行場を広くし、利用客が少なければ飛行場は小さくする。これが普通の考えだ。

嘉手納飛行場が民間空港になると、同じ沖縄にある那覇飛行場の客が嘉手納飛行場に流れるのは当然である。ところが太田氏の考えにはそれがない。太田氏の考えは、那覇飛行場の利用客は一人も減らないで、嘉手納飛行場の利用客が成田空港の利用客の2倍になる考えである。こんなことはありえないことだ。嘉手納飛行場が民間空港になったら那覇飛行場の客は確実に激減するだろう。
成田空港は日本の玄関とも呼ばれる国際空港である。成田空港と沖縄にある空港とは広さは関係なく成田空港の客が多いのは当然である。ところが太田氏は飛行場が広ければ客も多いという理屈であり、嘉手納飛行場のほうが広いから客は成田空港以上だという。そんなことはありえない話だ。嘉手納飛行場が成田空港の二倍の広さがあるからといって客も二倍になるなんて荒唐無稽の理屈だ。誰も太田氏の理屈に納得しないだろう。

ところが太田氏の理屈は県事務局に受け継がれていた。太田氏の理屈を踏襲した県事務局は那覇新都心の経済成長を参考にして、沖縄の全軍用地がすべて返還されたら現在よりも9000億円以上の経済効果あるという試算を去年発表した。那覇新都心もハンビータウンと同じ消費経済である。那覇新都心の店が売り上げた分だけ県内の別の店の売り上げが落ちただけだ。那覇新都心経済は県内でお金が移動する経済であり、県全体から見たら0成長である。
しかし、基地経済は違う。お金が日米政府から沖縄県にお金が入ってくる。約4000億円であり、観光の売り上げ4300億円に近い。基地が返還されたら沖縄県に約4000億円の金が入らなくなり、一兆円余の商品移輸入のうち4000億円分商品の移輸入が減るということになる。約4割の商品が県内に入ってこないから沖縄の経済はパニックになる。

基地返還をしても沖縄の経済が現状維持を実現するには観光産業や沖縄のベンチャー企業の売り上げが4000億円増えなければならない。企業の成長に必死に取り組まなければ沖縄経済は危うくなる。
沖縄の経済を発展させる理論が太田氏にはない。

インタビューの中にも太田氏らしい楽観論がある。「大浦湾が地域住民にとってどんなに大事な所か知らないだろう。戦中戦後の食糧難の時代に生活を支えた豊かな漁場であり、沖縄県が『一切の開発を認めない、現状のまま保全すべき場所』にした。さらに沖縄の経済を支える観光にとってエコツーリズムのメッカになる自然のきれいな場所だ」

半世紀前に、沖縄中が米軍の強制土地収用に反抗し闘っているさなかに辺野古は土地収用に賛成した。これには沖縄中を驚かせ怒らせたが、それは辺野古が悩みぬいた結果の苦渋の選択たった。「どうせ接収されるなら、接収を受け入れて、逆に自分たちの要求を聞き入れてもらう」という条件闘争を辺野古はやったのだ。米軍と対立するのではなく協力しあうという辺野古独自の方法を選択した。
その後、基地建設で辺野古は空前の活況を呈することになる。辺野古の人口も4倍になった。辺野古の人々は女子供を守るために自警団を結成する一方、米軍とは親善委員会をつくって村の行事に米軍も参加させて米軍と有効関係を築いた。犯罪防止についても米軍と相談をした。それが辺野古のやり方だ。
しかし、基地は整理縮小し、アメリカ兵が激減した。辺野古の経済はアメリカ兵の減少につれて落ちていき、今は過疎化の危機が襲ってきている。

太田氏は辺野古の人々の苦渋の選択を知らない。辺野古の戦後の歴史を知らない。それに沖縄の自然が生活を豊かにしてくれない事実を理解していない。沖縄は海岸が自然に恵まれていても、海岸の恵みはお金に換算するとわずかであり生活を維持することができない。沖縄の漁はパヤオ漁によって生活を支えている。「戦中戦後の食糧難の時代に生活を支えた豊かな漁場」と太田氏はいうが戦中戦後から半世紀も過ぎた今は昔の漁では生活できない。
「一切の開発を認めない」のならなおさら漁師を貧しくさせるだけだ。海の一部は鉄条網で閉ざされ基地になっている。基地が隣接している辺野古の海がエコツーリズムのメッカになるというのは妄想だ。それにエコツーリズムのメッカになったところで辺野古の住民の生活がよくなるわけではない。
太田氏の理屈は辺野古を過疎にしていく理屈である。

辺野古の住民は過疎化を防ぐ方法として普天間飛行場の受け入れを認めている(全員ではない。移設に反対している住民もいる)。
太田氏は県知事であったにも関わらず、過疎化に苦しんでいる県民のことを知ろうとしない。太田氏は県知事であったにも関わらず、辺野古の人たちが普天間飛行場の移設を受け入れるという苦渋の選択を無視している。太田氏は県知事であったにも関わらず、辺野古の人々の悩みに見向きもしない。

「新聞などの投書で沖縄の基地問題を称して『差別』という言葉が増えたのは戦後ないこと。基地の過重負担は差別から発していることに県民は気付き、怒りを感じている」などと、『差別』の理論が反戦平和主義による米軍基地撤去から、反差別主義による本土への基地移設と変わり、米軍の日本駐留を認める思想に変わったことも知らないで、「首相が県民感情を軽く見たら、安保そのものが危うく」なると呑気なことをいう。太田氏は「構造的差別」だなどという言葉の流行に流されてもっともらしいことをいう。呑気なお人だ。

太田氏のいう通り沖縄は人間の住む島だ。人間はかすみを食って生きていくことはできない。太田氏は21世紀ビジョンなどと上だけを見て妄想しないで、沖縄の底辺の生活者に目を向けてほしいものだ。
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コメント
 
 
 
Unknown (Unknown)
2012-02-27 13:03:18
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思考停止 (たかこ)
2013-11-28 12:30:20
 基地誘致が過疎化を止める手立てと考えておられるとすればそれは思考停止の何物でもない
 あなたのほうが呑気でしょ
 
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