菅義偉は仕事人 政治屋にはなれなかった 

菅義偉は仕事人 政治屋にはなれなかった 

 菅首相が総裁選に立候補しないことを決めた。そのことで友人と電話で話した。友人は菅首相のことを実務派であるといい、政治家ではないと言った。 友人は携帯電話の料金値下げ。デジタル庁創設、大量のワクチン購入、東京オリパラ開催など菅首相のやったことを上げ、たった一年でこれほど多くの政策を実現させた首相はいないと言った。しかし、これだけすごいことをやったのに自民党の政治家やマスメディア、国民にアピールすることは下手くそだった。菅首相は実務には優れているが成果をアピールする政治能力がなかったと友人は指摘した。友人の指摘する通りてある。友人が指摘した以外にも、
〇「安保土地法」を成立させ防衛施設の周辺などの土地買い占めに一定の歯止めをかけた。
〇霞ケ関の官僚たちの人事権を官邸が握った。
〇日本学術会議会員の6人の任命を拒否した。
〇韓国との慰安婦、徴用工問題には毅然と対応した。
〇ワクチン接種を100万以上にした。

 総裁選に出馬しないのは、新型コロナウイルス対策と総裁選の両立は莫大なエネルギーが必要で困難であるからだと菅首相は述べた。菅首相の本音だと思う。首相の座にこだわるよりコロナ問題を解決するのに菅首相はこだわるのだ。菅首相は首相になりたくてなったのではない。安倍前首相が病気を理由に辞めたから官房長官だった菅首相に白羽の矢が当たった。新型コロナ感染が世界に広がり、日本でもパンデミックが起こるかも知れないという状況で誰も首相にはなりたくない状況での首相就任だった。
 菅氏が首相になって知ったのが安倍政権のブレーンが菅氏であったことだ。安倍政権のブレーンだったからコロナ感染という困難な状況で首相になったのである。総裁になるための選挙活動はしなかった。安倍首相などの重鎮が菅氏を総裁に推薦したから立候補した。そして、総裁になり、首相になった。首相になりたくて、当選するために運動をしたからしゅしょうになったのではなく、安倍政権でブレーンとしての仕事をしてきたから首相になったのである。
 菅首相は党総裁選への不出馬の理由を以下のように述べている。

 総理大臣になってから、まさに新型コロナ対策中心とするさまざまな国が抱える問題について全力で取り組んできました。そして、今月17日から、自民党の総裁選挙が始まることになっていまして、私自身、出馬を予定する中で、このコロナ対策と選挙活動、こうしたことを考えたときに、実際、ばく大なエネルギーが必要でありまして、まあ、そういう中で、やはり、両立はできない。どちらかに選択をすべきである。国民のみなさんにお約束を何回ともしています。新型コロナウイルス、この感染拡大を防止するために、私は専任をしたい、そういう判断をしました。
 国民のみなさんの命と暮らしを守る、内閣総理大臣として私の責務でありますので、専任をして、ここをやり遂げたい。このように思います

 総裁を目指して選挙運動をするなら、総裁選に勝つためには選挙運動に埋没するしかない。コロナ対策に手が回らなくなる。菅首相は総裁選に埋没するよりコロナ対策を優先させたのである。友人は菅首相を実務型といったが私にいわせるとブレーン型仕事人政治家である。派閥に頼る政治屋ではない。
 菅首相がやらなければならないのは「コロナという魔物に勝てなかった」のイメージを跳ね返し、菅政権がコロナに勝ったことを示すことである。それを実現するために残りの時間を使う。その準備はすでに始まっている。新型コロナウイルスの感染拡大地域での行動制限の緩和策をまとめた政府のロードマップ(行程表)の発表である。原案はすでに分科会に提出されている。
〇ワクチン接種が進んだ10~11月の段階で、緊急事態宣言の発令地域でも感染対策を行った飲食店では酒の提供や時間制限を緩和する。
〇接種済みの人の外出や県境をまたぐ移動も原則認める。
〇ワクチン接種済み証や、陰性の検査結果を活用する。大規模イベントの人数制限の緩和。
〇政府の観光支援策「Go Toトラベル」の再開。
政府が作成したロードマップの骨子である。ロードマップを分科会に認めさせ、公表し、ロードマップが実現する方向に進ませる準備をするのが菅首相の最後の仕事である。
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