今年は合唱ブーム到来?

 親愛なる神奈川新聞によれば、今年は合唱ブーム到来(になるかも知れない)なのだと言う。その予想の根拠は、2008年上半期に、合唱をテーマにした(ウケそうな)映画2本が封切られるからなのだと(「歓喜の歌」と「うた魂♪」(文字化けしていたとすると、それは八分音符です))。クラシック音楽をモチーフにしたマンガ(勿論「のだめカンタービレ」のことだ)がヒットするとクラシックのCDが売れ、プチ・クラシックブームがやってくる。コーラスをモチーフにした映画がヒットするとコーラスブームがやってくる。実に判り易い。でも、マンガや映画のブームが去ると、クラシックブーム、コーラスブームは間違いなく終焉を迎える。実に判り易い。

 戦後(太平洋戦争後ということだ)、大ブームとなった合唱。しかし合唱人口は1980年頃から減少の一途をたどって現在に至っている。中学、高校時代には合唱に夢中であった少女(少年)も、今どき大学生になってまで合唱生活を続けることは稀である。それがだ、映画の影響だとしてもだ、合唱をしてみようと言う人が少しでも増えるのであれば、それはそれでめでたい。と、郷秋<Gauche>は思う。

 合唱は、最も大きく開かれたクラシック音楽への入り口である。ピアノにしてもチェロにしてもフルートにしても、それなりの演奏が出来るようになるためには数十万円以上(フルートは十万円程度からか)もする楽器を購入し、何年も練習しなければならない。でも、合唱には何も要らない。身体が楽器だからだ。練習だって必要がない。

長い年月の練習を経なくても、ベートーヴェンの荘厳ミサ曲でも第九でも、バッハのロ短調ミサ曲でも、モーツァルトのレクイエムでも歌えるようになる。楽譜が読めなくても歌えるようになる。隣なりの「歌える人」の真似をしてさえいれば歌えるようになる。とりあえずは。どうしても音が取れないところは「きんぎょ」(口パクとも言う。歌っているフリをして歌詞に合わせて口だけ動かし、音は出さない)でやり過ごし、歌えるところだけ歌えばいい。

 勿論、合唱とて極めようとすれば奥が深い。頂上への道のりは長くて険しい。でも、極めなくてもそれなりに楽しめてしまうのが合唱の良いところである。楽しみながら、少しずつ、ゆっくり、一歩ずつ(自分が目標とする)頂上を目指せばよい。だから頂上に立つまでには時間がかかる。長く続けなければならない。極めようとすれば、ピアノやチェロやフルートと同じということだ。合唱映画のヒットと共に合唱を始め、合唱映画のブーム終焉と共に合唱を止めたのでは、高みに立つことは出来ない。音楽に限らず何事でも同じだな(と、自戒の念をタップリ込めて)。

 きっかけは合唱映画のヒットであっても良いけれど、ブームが去ると共に止めてしまうのではなくぜひぜひ続けて、長く合唱生活を楽しんで欲しいものである。

注:知っている方は勿論良く知っているけれど、blogには書いたことがないはずだから知らない方が知らないのは当然なのでありますが、実は郷秋<Gauche>、合唱大好き人間なのですよ。
 
今日の1枚は、落ち葉に降りた霜。緑の葉は「仏の座」のようです。
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