漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
http://kampo.no.coocan.jp

昔の記憶・人さらい事件

2009-07-29 | その他
そうとう「漢方薬剤師の日々」のテーマとずれてますが。

前回の記事「昔の日食・・・」にコメントをいただいたら、
覚えていることが人によってすごく異なることに妙に感動し、
そうしたらふと、
小学校に上がったばかりのころ友人と二人、《人さらい》にさらわれそうに
(いまなら《誘拐》か)なったことを思い出しました。
今、のんきにブログを書いていられるのはその友人のおかげです。


      

木造のアパートに住んで、同い年の女の子とアパートの空き地で遊んでいたら、
知らないお兄さんが近づいてきて、
「あの山へ行かない?ピクニックしよう」と誘われました。「おいしいお菓子もってるよ」

のんきな私は「へ~、お菓子・・・」

と、
「やくちゃん、あっち行こう」と私の手をひっぱり、
「ええっ?・・・」引っ張られながら歩く私。

だらだらと、お兄さんはついてくるようです。
二人はアパートの角を曲がりこんだのに、
振り返って数秒後、またふら~と暗いお兄さんの姿が角に見え、
その時やっと、私は全身で《怖い!》と思いました。
そこは、アパートの窓が並んだ側なので、部屋に入りたくても入口がありません。
「やくちゃん、走って!」
「うん!」

もう後ろを振り返るのも恐ろしく必死に走ってアパートをさらに回り込み、
やっとそれぞれの部屋に走りこみました。



ということでなんとか逃げることはできたのですが、
その後も、
自分でもどこまでマヌケなのかと落ち込むほど友人と対応が違ってました。

私は、
話せば心配するかもとか面倒なことになるかもとかグダグダ考えた挙句、母に告げずにいました。
母は部屋を出て夕飯の支度に共同台所へ・・・

そのうちアパートの廊下で大騒ぎが始まりました。

と、母がすごい勢いで部屋の扉を開け、
「アンタ、なんでアタシに言わないの!!!」といきなり怒鳴り
私の腕を引っ張ってみんなのところへ連れていきました。

すでにアパートの住人たちの輪の真ん中にちゃんがいて、
「こんな服をきていて、こんな顔でメガネをかけてて」
と一所懸命説明しています。

(えっ、お母さんに話したの? そんなに重大なことだったのか)

「ねえ、やくちゃん、メガネかけてたよね!」
「えっ、メガネ?・・・かけてなかったんじゃない?」
 (だって、力の入らないぼーっとした感じの彼の視線、覚えてるし・・・)
「ウソ!、メガネかてたヨ!!黒いの!」
「あ、う、かけてたかも・・・いや~かけて・・たかな、やっぱり」

まったく役に立たない私の記憶。
楽しそうにお花がいっぱいのお山でピクニックしてる様子を
頭の中に描いたことは覚えているけど・・・

着てるものまで説明できたちゃん、
その後どんな人生を歩んで、どんな仕事してるのかなあ。


先週の日曜日、もう咲き始めていた萩の花。月日が過ぎるのは早いなあ。
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昔の日食・・・

2009-07-22 | その他
人生観さえ変わると言われる世紀の天体ショー、皆既日食。
私のところでは残念ながら薄暗い曇り空
日食で暗いんだか、霧雨の降る分厚い雲で暗いんだか、
ほとんど判別がつかない状態で、
人生観が変わるどころか、気持ちが沈んでしまった一日でした。
みなさんのところではいかがでしたか?

         

ところでこれより前に日本で日食が観測できたのは46年前だとか。

へ~、そんなに昔なんだ~~

今回、
黒い下敷きもろうそくの煤で黒くしたガラスも、ダメ!
と、盛んにテレビで言っていたけど、
これって、妙に古臭い。
そんな色気のない下敷き、いまどきの小学生、持ってないし、
ろうそくの煤なんて昭和時代的で、最近じゃまず思いつかない。

とか言いながらも、日食を校庭で観測した覚えがある、私。
黒い下敷きとか、ろうそくの煤で黒くしたガラスとか、
そんなものをみんな手に手にとって先生とともに
小学校の校庭に出て空を見上げた。

つまりは46年前に観測した人たちの経験から出た対策なのでしょうね。きっと。

確かに小学校のとき、日食観察が終わって教室にもどり、黒板をみると
いつまでも欠けた太陽の形が視野の中に映っていました。

というか、
そんな昔のことが自分の中にフツーにあって、全部知ってたことが
妙にショックなんですけど・・・
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北村薫「ひとがた流し」覚書

2009-07-18 | 
北村薫さんの作品「鷺と雪(さぎとゆき)」が、直木賞を受賞した
つい最近、彼の作品「ひとがた流し」を
はじめて読んだところだったのでちょっとうれしい。

      

「ひとがた流し」

幼馴染みだったとか、学生になって知り合ったら家が近かったとか、
ごく自然に、長い付き合いとなっている40代の3人の女性。

仕事、結婚、離婚、こども、病気、親の死・・・
さまざまな人生の転機があるごとに、
さりげなく気をつかいあい支えあうというストーリー。


友達ってありがたいもんだなあ、とつくづく思う。
そして自分はというと、
こんなに人を想いやっていなかったなあ、と反省。

だけど現実には、人を想いやるって難しい。
それぞれの人生、どれも同じものなんてない。
似たような状態でも、人それぞれの想い方は違うよね。
だから、気を遣ったつもりが、
かえって《傷に塩を擦り込む》なんてことにもなりかねない、かも。

それでも、後になって、
あのとき友達が声かけてくれてうれしかったなあ、とか、
あのとき少しは役に立てたかなあ、なんて
きっと思えるものなんだろうね。

こんな物語を読むと、歳はとるもんだなあとしみじみ感じる。


北村 薫  昭和24年埼玉県生まれ
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糖尿病その2・生活習慣の改善

2009-07-16 | 老化・血流
糖尿病その1・最近の選択肢 の続き
(薬剤師を対象とした病院医師による研修会にて)

糖尿病はいくつかのタイプがありますが、多くはⅡ型と呼ばれるもので、
その原因は遺伝性もありますが、食べすぎや運動不足、ストレス、加齢によるもので、いわゆる《生活習慣病》です。

Ⅱ型の増加要因をみると、
自動車保有率とパラレルで(つまり日常が運動不足の環境)、
動物性脂肪が多い食事(動物性脂肪がインスリンの働きを妨げる)
だと増える傾向にあります。

Ⅱ型の場合、最も治療効果が高いのは、
どの薬剤を服用するよりも《生活習慣の改善》だそうで、
その比較データは歴然としていました。

つまり、
食べすぎ、早食い、脂肪の多い食事
を改善し体重コントロール。
(体重1kgあたり25~30kcal、食物繊維を多く摂取し、ミネラルやビタミンをしっかり摂り、アルコールは控える)
そして運動不足の改善(1日20~30分のウォーキング)

糖尿病を宣告されると、はじめのうちは生活改善しようと頑張るのですが
痛くも痒くもない症状に、そのうち、
「薬を飲んでるからまあ大丈夫」
と安心して、ずるずると元の習慣に戻ってしまう人も多いようです。

薬局で、糖尿病の患者さんと話をすると
食事療法や運動の話はかなりの確率で嫌がられます。
たとえば、
「何を食べればいいの?」という話題に盛り上がっても
「お酒は毎日飲むので、その話は別」
と、あっさり却下されることもしばしば。

《生活習慣病》とはよく言ったもので、これをを変えるのは至難の業のよう。

ちなみに漢方薬対策は、もちろん体質によって用いる処方は異なりますが、活血対策(血流改善対策)はしっかり行っておくとよいでしょう。
(たとえば冠元顆粒や血府逐お丸など)

漢方の空間ファインエンドー薬局   糖尿病の漢方養生法
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糖尿病その1・最近の選択肢

2009-07-14 | 老化・血流
薬剤師を対象とした病院医師による研修会にて

一昔前まではインスリン注射は最後の手段、というイメージで、
インスリンの自己注射(ジコチュー)は嫌がられたものです。
なんせ、毎食前および寝る前と、しょっちゅう注射をしなければならず、
仕事をしている人は職場でもおこなう必要があり、こっそり隠れて
おなかに注射針を立てる姿は、周りの理解がないと大変です。

しかし、
最近の治療では、早い段階から注射によるインスリン補充を行い、
その間に膵臓を休ませ消耗を防ぐというやり方が主流になりつつあります。

つまり、治療順位は、
1)食事療法
2)インスリン注射
3)食後血糖値を抑える(αグルコシダーゼ阻害剤)
4)高脂血症の対策
5)食欲を落とす対策

というわけで、
もしも職場の仲間が糖尿病で自己注していたら、
寛容な姿勢でみてあげてください。


インスリンの働き

1)血糖を下げる
2)脂肪分解酵素(リパーゼ)をつくる(⇒中性脂肪を抑える)
3)タンパク質や核酸の合成促進(⇒傷の治りを促す)
4)白血球の働きを高める(⇒免疫たとえばカゼなどの感染症やガンに対する抵抗力)

つまり、インスリンの分泌力が低下すると、
血糖値が高くなるだけでなく、中性脂肪も多くなるし、傷などの治りが悪くなるし、免疫力も低下してほかの病気にもかかりやすくなる。。。となかなか厄介なのです。 


糖尿病の合併症

糖尿病そのものは痛くもかゆくもないのが問題で、知らないうちに《合併症》が進行してしまいます。
微小血管の障害による腎不全、網膜症
神経障害によるこむらがえり、しびれ、インポテンツ
大きな血管では動脈硬化が進みます。

糖尿病が境界型であっても、コレステロール値が高いと心筋梗塞による死亡率がとても高くなる傾向があります。
また、HbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)の値が良好でも食後血糖値が高いとやはり心臓死の割合が高いそうです。

経口糖尿病薬には、食後血糖値の上昇を阻止するものをはじめとして作用する部位によって何種類もあるので、数種類を組み合わせた処方が多いです。

次回は生活習慣の改善についてです。
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ハマスゲ・香附子(こうぶし)

2009-07-08 | 薬草・生薬
「ハマスゲ」を散歩中の畑の片隅に発見しました。

もう少し穂が伸びると、線香花火そっくりになるので、
子供のころは逆さに持って「はなびー!」とか言いながら遊んだものです。

これを「カヤツリグサ」と覚えてしまっていたのですが、カヤツリグサ科です。
子供にとっては「カヤツリグサ」のほうが覚えやすいし。

で、例によって、子供の頭の中で
「この草でどうやって蚊帳を吊るんだろう???」
とぐるぐる考えあぐねたものでした。
実際、ハマスゲを採って帰り、こっそり蚊帳を吊ってみようとしたし
結果はわかってるのに(なのでこっそりやってる)
それでもやってみなきゃ気が済まない子供のころ。

    

この根っこはしつこく蔓延り、雑草として悪者使いされているようです。

しかし、この根っこが生薬の「香附子(こうぶし)」だったわけで、

「あ、これ線香花火じゃん」
えらそーな分厚い生薬の教科書と幼いころの思い出が一致したときの快感といったら・・・
まるで教科書を征服したようなルンルン気分。

香附子(こうぶし)
味:辛・微苦・微甘・平  帰経:肝・三焦
行気薬、つまり気の流れを整えるので、いらいら、怒りっぽい、憂鬱、胸脇部が張って苦しい、腹が張る、などの症状、また月経不順や月経痛に用いられます。
「気病の総司、女科の主帥」と称される。

香蘇散(気分が優れず頭痛や食欲不振、めまいなど)
川キュウ茶調散(頂調顆粒)(カゼ、血の道、頭痛)
冠元顆粒(中年以降または高血圧傾向のあるものの頭痛、頭重、肩こり、めまい、動悸)
などに配合されています。

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幸田文(こうだあや)「きもの」覚書

2009-07-03 | 
だいぶ前に読んだはずだけど、その時やけに印象深かった作品。
久しぶりにこの文庫本を手に取ったら、
「げっ」
「字が小さい!」
というより最近の文庫本が、字も大きくなったし文字間隔も広くなっていたのだ。
一昔前は、字のサイズは確かにこのくらいだった。

おまけに幸田文の文章は、途切れることなく続くので、
ページ全体がその小さな文字でびっしり埋まっており、
文字を追いながら視線を下から次の行の上に移すたびに迷子になる。
若いころは電車の中でもこんな小さな文字を読んでたんだ・・・
そろそろ老眼が入ってきている私としては、かなり苦しかったです。

        

内容は、かなりの量できものの話題なのに、女の生きざまが
すごい勢いで現わされています。
それは幸田の性格の強さが出ているのかもしれませんが、
あるある!と共感するところがいっぱいでした。

季節感、お手入れの仕方、人への思いやり方、受け答え方、
細やかな当時の日本文化が、それはきめ細かく表されています。

そしてこの時代(大正から昭和初期)に使われていた、会話の言い回し。
そういえば私が幼いころにも、母がこんな言い方してたなあと思いだされます。

なのに今、こんな素敵な言葉を全然使っていないことに《愕然》とします。
この本を読んで、テレビをつけると、一瞬違う国に来たかと思うような錯覚を覚えました。

いつの間に、こんなに言葉や文化が違ってしまったんだろう。

関東大震災のまさに直前、商店街のいつもの静かな様子を描いた部分が印象的でした。


幸田文 (1904年9月1日 - 1990年10月31日)
幸田露伴の次女として東京向島に生まれる。
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更年期でカッと爆発を漢方薬対策で

2009-07-01 | 婦人科・嚢腫・筋腫・更年期
50代女性、
「このところ、気持ちが抑えられずに爆発してしまうの、
 私も漢方をのんだらいいのかも、って思って・・・」

以前、娘さんの生理不順でご相談いただいたこのとある方で、
漢方薬を服用した娘さんはその後とても元気になったそうです。



更年期と呼ばれるころ。
日々、体の衰えを実感し、同時に精神的にも「許容力」みたいなものも小さくなる。
《健全な体に、健全な精神》、体が弱ると気持ちも弱るようです。

「そうなんだ。私、頭がどうかなっちゃうのかと落ち込んだりしたけど、体と気持ちってつながってるのね。」
「だけど夫とか家族は、そんな私に気づこうとしなくて。」
「《ヒステリーじゃない?》とか《ウツでしょ、それ》とか冷たく言うだけで・・・」

人生いろんなステージがあるのでしょうが、
更年期と呼ばれるころは、思春期の次くらいにデリケートな時期なのかもしれません。

それに、そんな更年期は男性にもあります。
なので、お互いに思いやりながら、気づきあうことが必要でしょう。
(と書いてはみるものの、長年夫婦で顔を突き合わせていると、
なかなかそんなやさしい気持ちになるのは難しいけど

     

血虚タイプで現状ではやや熱がこもった状態もあったので、
婦宝当帰膠と加味逍遥散を服用していただきました。

2週間ほど服用された後再度来局
ほてり気味の顔色がやや落ち着き、舌の色も良くなっているようで、
「いいみたい」
と同じ処方を続けていただくことに。

冷えやすく血流が悪化しやすい体質なので、今後、ほてり感が収まってきたら、
処方を変えたほうがよいかもしれません。

女性の更年期   男性の更年期
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