農作物とその天敵、動物、昆虫、鳥、細菌、気候、そして化学農薬。そこには「自然のバランス」などという規則性は全くないと言っていいほど一筋縄ではいかない。
化学的防除と生物的防除のどちらが優れているか、という問いは無意味であるという著者。
日本を含む東アジアは温暖湿潤で害虫が発生しやすく、単純に農薬使用率を欧米と比較できない。病害虫に侵された農産物のほうが人体に有害な場合もあるという。
外来種導入、フェロモン、不妊化、密度依存など様々な検討がなされる一方、同時に予算、期限、政治、農民、民間会社の経済的意向などの圧力もある。
最後は、著者らが父島で奮闘したカタマイマイ類など固有種を外来種ヤリガタリウウズムシから守る死闘は手に汗握るものだった。その結果は失敗。父島のカタツムリ類はほぼ絶滅したらしい。
昨日の散歩道でゴイサギ
#招かれた天敵 #生物多様性が生んだ夢と罠 2023年3月第1刷 5月第2刷
#千葉聡 著 1960年生まれ東北大学東北アジア研究センター教授 東北大学院生命科学研究科教授兼任