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漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
http://kampo.no.coocan.jp/

目のしょぼしょぼが改善・杞菊地黄丸で肝腎を補う

2025-03-28 | 頭痛、めまい、目
目を使うことが多くなった昨今、目の使い過ぎは肝血虚を助長します。それに春はどんどん陽気が増して陽ざしが強く目の負担も増します。
春は「肝」、「肝」は目に開竅する


目をいたわってください。目の周りのツボマッサージもおすすめです。
50代の元気な女性のこと。目がしょぼしょぼして目薬をさしても改善しない。つまりその不調は目だけで起こっているのではないのですね。
そこで杞菊地黄丸を飲んでもらうと、目がスッキリして視野がパーッと明るくなったそうです。

杞菊地黄丸は、補腎剤の中では「肝と腎を補う」処方。
40代くらいから「腎虚」の症状が現れるので「補腎」の漢方を常用するとよいのですが、女性は「肝血虚」状態にも陥りやすいので、肝腎を補う杞菊地黄丸をおすすめの場合が多い。この女性もこの対策で体調がいっぺんに整って一機に改善したのでしょう。

気づかないところでおこっている体の不調、中医学の知恵を知っていると予防することができますね。

今日の暖かさで近所の桜がずいぶん開花しました。



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口呼吸をやめて鼻呼吸にする

2025-03-24 | アレルギー・花粉症・鼻炎・咳
「鼻で息を吸う」あたり前なのですが、この頃、口呼吸の子供がずいぶん多いそうです。
人は言葉を発するように進化して口で呼吸もできるようになりましたが、もともと口は食べる器官で、鼻が呼吸する器官であることに変わりはありません。

鼻から空気を吸うと、ろ過、浄化、加湿され、肺に入るまでに体温と同じほどに温められるようになっています。その温かい酸素が肺から吸収されて食べたものを燃焼しエネルギーを得るのです。
しかし口から息を吸うと冷たいまま、扁桃を冷やし、様々なゴミや雑菌に曝され、白血球とともに体内を巡り絶えず炎症を起こして、アレルギー疾患が増えるのです。

免疫力が落ちアレルギー体質の人が増えていると言われる昨今、鼻呼吸を意識してみてください。

《口呼吸になっていませんか?》
・無意識のうちに口が半開きになる
・出っ歯(唇のしまりが悪いと歯並びが悪くなる)
・受け口
・下唇がぽってりしている(唇を締めていない)
・唇が乾燥する
・朝起きた時に喉がヒリヒリする(寝ているときに口が空いている可能性)
・鼻の穴を意識して動かせない
・唇を閉じるとアゴに梅干し様のシワができる
(アレルギー体質は口呼吸が原因だった・西原克成著 より)

《免疫力を上げるために鼻呼吸を心がける》
・片噛みをやめ、よく噛む(口周りの筋肉が鍛えられる)
・上向きで寝る(体のゆがみが矯正されあごのゆがみも整う)
・冷たい食べ物を避ける(腸の温度が下がると免疫機能が低下する)
・よく寝る(横になることで骨が圧迫から解消され血球や免疫細胞がよくつくられる)

体は冷やさないように。ふだんの養生、大切ですね。

そろそろ桜、開花するかな?



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陰陽転化の時期・春分

2025-03-19 | 暦・季節ごとの養生法
今朝は春雷が鳴り響きました。明日は春分。

さて、昼は陽で、夜は陰なので、陽の極みは夏至で、陰の極みは冬至です。
陰陽が極まると、陰は陽に、陽は陰に互いに変化します。
そして中間の春分と秋分で、昼と夜の長さが同じになり、陰と陽のバランスが入れ替わります。これを陰陽転化といいます。

この時期は陰と陽のバランスが不安定になりがちで、
例えば「寒い」のは陰で「暑い」のは陽ですが、寒さ(寒邪)にやられたと思ったら急な暖かさ(暑邪)で体調を崩すということもあり、体調管理は難しくなります。
胃腸炎なんてのも流行りがちですね。なんとか菌とかウイルスがどうこうと言いますが、つまりは、体が虚していると、外からの邪気が入り込んでしまうのです。

外邪を体表で打ち負かすことができるよう、ふだんから養生しておくことが第一です。どうかご自愛ください。


やっと冬鳥のシメが増えてきたと思ったら、
あれ?チュウサギ来た?


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コブシ、辛夷(しんい)は温めてくれる生薬で鼻閉などに用いる

2025-03-17 | 薬草・生薬
雨の潤いを享受してか、コブシの花が次々と咲き始めました。
民家のモクレンも開花が始まったようです。
春の訪れを告げる花ですが、コブシ、モクレンなどの蕾は生薬の辛夷(しんい)でもあります。
呼び名も、辛夷花、木筆花、春花などの呼び名があるそうです。
ハクモクレン、シモクレン、コブシ、タムシバなどの相称ですが、
現在、生薬としては主にモクレンが用いられているようです。

「葛根湯加川キュウ辛夷」や「辛夷清肺湯」など、花粉症の鼻づまりにも用いられることがあるので聞いたことがある人もいるかもしれませんが、辛温で宣肺通鼻作用があり、鼻閉や鼻汁などに用いられます。

他にも花の生薬はいくつかあり、概ね「寒」つまり冷やす働きを持っているものが多く、例えば金銀花(スイカズラ)、連翹、野菊花、紫花地丁(ノジスミレ)、全草を用いるものとしては蒲公英(タンポポ)、魚腥草(ドクダミ)など。
辛夷はめずらしく温める作用を持っています。
寒い時期に咲くからでしょうか。

コブシは小さな葉がついていてモクレンとの違いの一つ。



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地黄丸類の老化予防のしくみ・三瀉三補

2025-03-10 | 老化・血流
老化予防というと、もっと何か栄養のあるものを体に足さなきゃと思いがちで「がつんと元気になれるものないの?」と聞かれたりします。
しかし中年以降になると、疲れが回復するのに日数を要するようになり、どっさり食べればもたれて、もっと体が重だるくなる。

若いころに比べて解毒に時間がかかるのです。
足すばかりでは体はこなしきれません。掃除することも大切です。

すっきり排便排尿、汗をかく、よく体を動かしそして快眠、
デトックスをまめに行い、お腹がすいたらよく噛んで食べる。
デトックスをきちんと行っていれば、脳内もスッキリして認知症の予防にもつながります。

老化予防の補腎漢方と言えば、八味地黄丸とか牛車腎気丸、杞菊地黄丸、瀉火補腎丸、八仙丸など「地黄丸類」ですが、実はその基礎になっている処方は六味丸です。六味丸に数種類の生薬をプラスして、体質に応じた地黄丸類が用意されているのです。

六味丸の生薬内容は、『三瀉三補(さんしゃさんほ)』の組み合わになっています。
「掃除しながら、必要なものを補う」という意味です。

《六味丸の内容》
沢瀉:利水滲湿・排尿量を増やし停滞した水を掃除する
茯苓:利水滲湿・胃腸の掃けを促しむくみなどを解消する
牡丹皮:清熱活血・血流を改善しこもった熱を取り去る
地黄:養血補腎
山茱萸:補肝腎
山薬:補脾補腎

漢方処方ってよく考えられていますね。
ちなみに中国では、老化が気になったらまず杞菊地黄丸と言われます。


山茱萸(サンシュユ)の花が咲いていた。
秋に赤い実がなりそれを生薬として用いる



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認知症の特徴と予防

2025-03-07 | 老化・血流
認知症について研修を受けました。

《認知症の特徴》
・忘れた自覚がない
・自分で判断できない
・だんだんひどくなる

忘れっぽくなったと自覚があるうちは老化によるもの忘れです。

《軽度の認知症》
・歩幅が狭くなる
・いつもやっていることはできる(日常生活はできる)
・加齢だけとは言えないような記憶障害
・認知症初期に起こることがあるピック症:突然、非道徳的行為をしてしまう(万引き、わいせつ行為など。まさかあの人が・・・というような)


認知症が進んでしまうと薬剤治療の効果が得られにくくなるので、今から予防しましょう。
症状が出ずらい人には特徴があるそうです。

《症状が出ずらい人の特徴》
前向き思考
人とコミュニケーションをとる
社会貢献
運動をする
栄養のバランスがよい 胃腸が健康
充分な睡眠
自然に親しみ脳をリラックス

3月に入ってこの冬少なかったツグミがたくさんやってきました

漢方対策は主に『活血補腎』です。この話題は次回に。



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生理が半年来ていない、を漢方対策

2025-03-03 | 生理・生理不順・生理痛
1年以上前から生理周期が2か月に1回くらいと長くなり、とうとう半年前からこなくなった女性。
仕事がいそがしく家に帰り着くと、疲労で眠くて何かをしていてもそのまま眠りこんでしまうという。

気血両虚状態なので、まず婦宝当帰膠と補中益気湯を始める。幸い服用2ヶ月目には生理が来た。

民家の梅。あちこちで満開を迎え気分も華やぐ

「まだ漢方続けた方がいいんでしょ。」
そのとおり、生理は定期的にくるようになってはじめて元気になったといえます。体が力を蓄えて毎月生理周期を紡げるように養生してください。
相変わらず忙しそうだけど、たまには息抜きしてたまった疲れをとってくださいね。

椿もよく咲いている。木の春とはピッタリの漢字ですね。


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