漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
http://kampo.no.coocan.jp/

秋、「白きくらげ」に凝ってます

2005-10-28 | 薬膳・食育
仕事上、中国の医師と会うことが多いのですが、ひとりの女性中医師から聞いた話で、中国に帰国したときには、白きくらげをたくさん買って戻ってくるのだという。
肌にとてもよい食べ物だそうで、中国人はよく食べるのだという。

かの西太后が毎日おこなった美容法のひとつに、朝食には一晩かけてゆっくり煮込んだ白きくらげをゆり根と一緒に食したそう。
また、中医学的には白きくらげは、肺を潤すので秋にぴったり。
実際、食物繊維やカルシウム、ゼラチン質を多く含むということなので、お肌も潤うにちがいないよね。

料理法としてはとりあえず調理時間の少ない、サラダやポン酢での和え物で食べることが多いけど、昨日は、生ひじきと合わせてごま油風味のドレッシングでなかなかグーでした。

西太后の一晩かけてゆっくり煮込むって料理は、どんなんでしょうね。
想像するだけで肌がふっくら潤いそうです。

ちなみに、白きくらげを漢字で書くと「銀耳」です。

血流測定会

2005-10-24 | 漢方的話題
先週後半から血流血圧測定会の催し物を行ったら大盛況で、大忙しでした。
私はといえば、朝から晩までずっとしゃべり続けているので、夕方には声が枯れてきて、陰虚(潤い不足)状態。まさに麦味参顆粒の症状といったところでした。

たまに自分の体調をチェックするのも健康づくりの励みになっていいですね。

多くの方々からのリクエストをいただき、再度12月の中旬にも行う予定ですのでお近くの方は是非いらしてくださいね。

アワーミュージック

2005-10-17 | 映画
いや~、久々に難解な映画(というより哲学書かな)で、思考がついていかず撃沈した感じの、ジャン=リュック・ゴダールの作品です。

集中力のあるときにさらに3回くらい見れば、何とか自分なりに理解できるかも・・・(そういう意味でこの映画に★の数をつけるのはまったく意味がないと思うけど、一応どっちつかずの★3っつ)

戦争や民族間の諍いが果てしなく繰り返されてきた人類の歴史。
なぜこんなに分かり合えないのかと考えると、やっぱり宗教というものが大きいと思う。
育った宗教環境によって、すべてのものの判断基準が違うから厄介だ。
たとえば映画の中にでてきた『来世』という言葉の観念。
観ていた私は、即「何に生まれ変わるか」の意味だと思ったが、彼女(ユダヤ系フランス人)は違った。「天国がどうか」ということだった。
この違いは大きい。

そんなわけで、生きることや死ぬことの意味がまったく違った人々が同じ空間に生きている。一筋縄ではいかないよね。

それにしても、ゴダールが講義している第2編は、まったく何を言いたいのか理解できず、けっこう落ち込みました。

それから、音楽の面からいうと、同じシーンでバックに音楽が流れるときと流れないときとでは、そのシーンが語りかけるイメージがまったく違って見えるのがすごく不思議でした。

あらすじ

★★★


秋太りの真相

2005-10-12 | 漢方的話題
夏が終わったら太ってきた、どうしよう~、という訴えをいくつかいただいた今日。
偶然同じ内容の相談が集中するときって、たまにある。今日はそんな日だった。
そんなに誰もが太り始めてるのか?

「どうして?」「体のどこが悪いの?」「漢方薬何か飲んだほうがいい?」
はたまた「この漢方薬飲むと太る?」(なにをいまさら・・・)

・・・

夏は暑いというだけでエネルギーを消費する。なんせじっとしていても汗をかくくらい代謝がいいのだ。だからダイエットも成功しやすい。

ところが涼しくなったこの頃。
運動して自ら体温を上げなければ汗をかくことはない。おそらく夏に比べてエネルギー消費量は減っていると思われる。

ならば夏と同じ量食べてれば、少し「余り」がでるということになる。

しかし、夏バテも解消して食欲は出てくる。
旬の食べ物も美味しいものばかり。
季節限定なんていうスウィーツもあったりして、今食べなきゃどうするって感じだ。

だから太って当たり前。
「天高く」なったら「馬肥ゆる」って、ことわざがあるくらいだから、昔から太りやすいシーズンだってことです。

実りの秋という言葉どおり、秋は蓄えのシーズンです。
この実りを体に取り込むのは体にとってよいことです。
ちょっとくらいの体重増加は気にしない。
(明らかな肥満ならば気にする必要はあるけど・・・)

その分、戸外で十分運動してエネルギーを消化し、ついでに秋の気(パワー)を体に取り込んでね。

漢方発想のダイエット



シンデレラマン

2005-10-11 | 映画
最後の壮絶な試合シーンはまるで力石とジョー。この映画の中で2人は世界恐慌の経済的強者と弱者の象徴として描かれているんでしょうね。きっとジミーを日本のヒーローにたとえれば、長島選手ってとこじゃないでしょうか。

彼を応援する貧しい人々は、それで自分の生活がどうなるってこともないんだけど、彼が必死に強者に立ち向かうことで、自分も勝ったような、報われたような、救われたようなそんな希望を持てたんだろうね。
長島選手に感動して涙する徳光さんを思い出してしまった・・・

おそらく試合中の、民衆の心を突き上げるうねるような感動は、きっとその当時の世界を実感したものでなければわからないのかもしれない。
その意味で、観ていた私は感情面で取り残されてしまった。(く~、いまいち乗れない・・・)

ジミーの妻役のレニーは、相変わらずお茶目で愛らしいのだけど、唇とんがらかしてすねてるような顔は、極貧生活にはちょっと不相応で、やっぱし独身女性の~日記向き?

あらすじ

★★★


宮本輝の「星宿海への道」

2005-10-07 | 
9月に急性腰痛症を患って寝込んでいる間に読書にはまってしまった。
ぎっくり腰

普段見向きもしない岩波新書の外国人作家をうろうろしてみたけど、島国育ちの中年日本人にはどうもしっくりこない。

で、ひさしぶりに”違いがわかる男”宮本輝に再会したら、昔より涙もろくなったのか、もろ琴線に触れまくり、心からしみじみしてしまいました。

星が宿る海と書く場所は黄河の源流らしく、それは星のようにたくさんの湖が寄せ集まっているのか、満天の星が写るほど美しい場所なのか、とにかく宮本の表現にうっとりと想像世界が広がる。
そして「異族」という言葉に強く興味を示した男は、新疆ウイグル自治区のある場所で自転車に乗ったまま姿を消してしまう。
いや~、まるでNHKbsの世界だ~。

そしてそのなぞを解き明かそうと、男の弟や男の子供を生んだ女性など次々と登場する人物たちが、男の幼い頃からの切ない人生を明らかにしてゆくんだけど、
昭和30年代から現在にいたるまでの紆余曲折した日本の様子が見事に描かれて、懐かしさに浸っちゃうんです。

でも「懐かしさ」という感覚だけじゃけっしてない。
男のことが、周りの人々にとって気がつけば、なにも残っていない空気のような生き方をしてきたその男の生き様に、じわ~っと感動するんだよね。
そして周りの人々の生き方にも・・・
心の闇を背負いながら、たまらなく孤独のようでも、出会った人と敏感に心を共鳴させながら暮らしてる・・・切なくてもいつもぽっと希望がある・・・人間ってそんな柔軟性がある。