漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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筋腫や早期流産を乗り越えやっと妊娠・漢方不妊症対策

2011-05-25 | 子宝・妊娠体質つくり
妊娠12週に入り、やっとにっこりしてくれた30代後半の女性のこと。

早期流産、筋腫手術、そして半年のピル治療が終わり久しぶりに生理出血が来たところで、
漢方で体の立て直しをやってみようと来局された方でした。

「すぐ妊娠しようと思っているわけじゃないので・・・」
「別に子供ができなければできないでそれでもいいかなって・・・」
漢方対策中、そんな言葉が出る。
その言葉の裏を思うと心が痛むけど、そうよね、生き方に決まりがあるわけじゃない。
結婚後4年が過ぎ、いろいろと考える時だったのだろうと思います。



まずは理気活血対策だけでスタート。
そして次の周期には低温期と高温期のメリハリが出た。
排便もすっきりして寝つきもよくなり、頭痛もなくなったと大喜び。

低温期の補腎対策を強化。
その漢方薬の味が苦手なようだが少しずつでも服用を続けていただく。

湿気が多い季節になり、舌のコケも厚くて黄色い。
そこで湿熱対策の処方を少量加える。
これは特に不妊症の漢方というわけではないが、体の調子が良い状態を保つことが何より大切。
その結果狙い通り、彼女は「体がスッキリして調子がいい」と気に入ってくれたので、しばらく続けることに。

低温期から高温期への移行に日にちがかかるときがあり、また高温期も時々体温が下がるので、高温期も補腎対策をすることに。

すると次の周期には妊娠判明
ところが流産経験があるので、不安が募り緊張感が強いせいかおなかの張りがあるということで当帰芍薬散を処方。
その後、1日1日が不安でいっぱいのようでしたが、
やっと安定期に入って安心してくれました。

今後の生き方が変わるけど思慮深い彼女だからきっと、
柔軟に力強く生活してくれると思います。

キュウ帰調血飲第一加減、温胆湯、参茸補血丸 参馬補腎丸などを用いました。


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どんどん伸びて解毒してほしい

2011-05-19 | 植物&動物
桜花の後は、このとおり。

民家の門のところに植えられ、道へとどっさり伸び出て思わず味見したくなったけど、
手を出すのはやっぱり気が引け、その分鳥たちが寄って集って騒がしく食べてます。


すでに伸びすぎのタケノコ。
桐(キリ)の花を見つけて喜んだものの、これも終わりかけ。

昔はタンスに桐を使ったのでたくさん桐の木が植えられていたそう。
ちなみにこれは家紋の「桐紋」。

先週くらいにだれかのブログにライラック咲き始めてますよって書き込んで、
この日曜日に見たらすっかり花は終わっており、焦ってしまった。
季節の変化が速くて、仕事をするのも惜しいくらい。(いやいや真剣に仕事してますよ毎日
確かにこのところ漢方の話題を書く暇がないけど・・・


ノイバラの花に蜜集めのハチ。
盛んに花から花へ飛び回ってじっとしていない。カメラ越しに追いかけていると目が回りそう。
この季節になると、鳥や虫も活発で、
写真では静かそうに見えても実際はさまざまな音がして賑やかだ。


咲き始めたエゴノキ。もう夏の雰囲気。
葉っぱも伸びて風の音が聞こえるようになった。枝が揺れてなかなかピントが合わない。
エゴノキの由来は、自我が強いのエゴではなく、実の味がエグイからなんだそう。


名前がまだ判明しない雑草。
どんどん伸びて大気と大地を解毒してほしい・・・

ブラック・スワン(映画)シビアな精神世界

2011-05-17 | 映画
「パーフェクト・・・」(完璧・・・)
と最後につぶやいたニナ。


驚愕の展開を見せてくれます。
この展開は、レオンナルド・ディカプリルの「シャッターアイランド」に似てますかねー。

想像性豊かな映画だから可能なこの展開。
観る者は疑いもなく不思議な空間に浸り、ママ(バーバラ・ハーシー)や
陽気なリリー(ミラ・クニス)を偏見の目で見、前宣伝で見たような羽が
早くニナに生えないかと期待します。
そしてとうとう・・・あのブラック・スワンの妖艶さといったら、もう。
線の細いナタリー・ポートマンはまさに適役でした。

「痛さ」と緊張で圧倒されてしまって、エンドロールの時間は、ぼーっとしてしまいました。

このストーリーを種明かししてしまうことは厳禁なのですよ。
この驚きはぜひ劇場で!(って思わせぶりの宣伝かっ!)

ブラック・スワン:★★★★★私的にも「パーフェクト」
ウィノナ・ライダーはどこに出演していたのかと思っていたら、
役を下された「ベス」が彼女でした。確かに彼女も迫力あったなあ。

監督:ダーレン・アロノフスキー

キャスト(役名):
ナタリー・ポートマン (Nina Sayers)
ヴァンサン・カッセル (Thomas Leroy)
ミラ・クニス (Lily)
バーバラ・ハーシー (Erica Sayers)
ウィノナ・ライダー (Beth Macintyre)
バンジャマン・ミルピエ (David)
クセニア・ソロ (Veronica)
クリスティーナ・アナパウ (Galina)
セバスチャン・スタン (Andrew)
トビー・ヘミングウェイ (Tom)

英国王のスピーチ(映画)穏やかな愛情

2011-05-14 | 映画
1か月遅れでやっと近所の映画館で上映された話題の作品「英国王のスピーチ」
映画好きにとって出遅れるのはなんともくやしい。
映画の地域格差、なんとかならないもんでしょうか、ねえ。

出遅れている間、観られないストレスと期待が膨らみ、一方では
熱が冷めかけたりして、いざ観るときにはなんだか収集がつかない気分になっていて、
その結果、映画の感動が薄れてしまうことがしばしばある。
この映画もそうなってしまった感がある・・・


こりゃ、コリン・ファースより、名優ジェフリー・ラッシュの映画です。
ジェフリー・ラッシュといえば1995年と古くなりますが、シャイン
あの緊張感のある映像は素晴らしかったです。そして彼のうまさが光ってました。

で、「英国王のスピーチ」ですが、イギリスらしいつくりの映画です。
ジェフリー・ラッシュの教師ぶりとつつましい妻と子供の
穏やかな愛情にあふれた家庭がとても美しく描かれてました。
吃音に悩む英国王はきっと、こういう家庭を望んでいたのかもしれません。

英国王のスピーチ:★★★★


監督 トム・フーパー

キャスト(役名)
コリン・ファース (King George VI)
ジェフリー・ラッシュ (Lionel Logue)
ヘレナ・ボナム=カーター (Queen Elizabeth)
ガイ・ピアース (King Edward VIII)
ティモシー・スポール (Winston Churchill)
デレク・ジャコビ (Archbishop Cosmo Lang)
ジェニファー・エール (Myrtle Logue)
マイケル・ガンボン (King George V)

佐野洋子「役にたたない日々」覚書

2011-05-12 | 

60代後半からの5年間(2003-2008)の佐野洋子さんの出来事エッセイ。

佐野さんの言葉は、飾り気がまったくなく、感情を正直に
すごくまっすぐ、隠し事なく書いている。

彼女の日々の出来事の中に感じるさまざまが、痛いほどよくわかる。
自分もそんな年齢に近づきつつあるからだろう。

「バアさんだか男でも女でもない」自分をはばからない。
こうあるべきだと世間で言われる尊敬すべき老人を生きようなんて全然思っていない。
そして堂々と冬ソナにはまり、忘れっぽくなった自分を恐れ、
友人に電話で泣きながら自己嫌悪し、有名人をズバッと切り捨てて表現する。
がんを患い余命一年といわれたとたん、帰りに近所でジャガーを買い、
気持ちは晴れ晴れして長年患っていたうつ病はどかへすっ飛んだ。
(これで認知症になる恐怖から逃れられるということらしい)

納得のいかない事象に対して
「人類は滅びる。人は平等ではない。もしかしたら何の権利も
与えられていないのかもしれない。老人の私は妻夫木君に
にたつきながらほとんど怒り狂っている。
狭い家の中ででれついたり怒り狂えて幸せである。」

笑わずにはいられない。こんなバアさん最悪だよと思いながら心底共感している。
読んでいると元気が湧く。こうやって生きるのが王道かもしれない。

認知症の検査を受けるシーンで、
「「木、犬、電車」覚えててください」と医師に言われて
木のそばに犬が座り遠くに行く電車を眺めている景色を思い浮かべた
-という発想がいいなあと思った。

1938年 北京生まれ--2010年 絵本作家でもある

地獄の釜の蓋・キランソウ

2011-05-07 | 植物&動物
公園を散歩していたら、足元の砂利の中に埋まるようにして咲く小さな紫色の花を発見。
思わず砂利をかきわけた。
そうそう、これぞ「地獄の釜の蓋」(キランソウ黄瘡小草)
            

地を這うようにして育つこの植物は、夏になるとあたかも地獄の釜に蓋をするかのように
地面を蔓延る。
また民間薬として「筋骨草キンコツソウ」という名があり、高血圧、鎮咳、去淡、
解熱、健胃、下痢止め、はたまた皮膚病にもよいそうで、この植物で元気になって
地獄の釜に蓋もできるという意味もあるらしい。

「地獄の釜の蓋」に「筋骨草」、わずか0.5~1センチほどの愛らしい花に、
よくぞこんな逞しい名前をつけたものだと思う。

地獄の釜の蓋があく」という言葉を教えてもらったのは、何年か前の夏。
お盆の16日は、地獄の番人の鬼も休むので、地獄の釜に落とされた死者たちは
地獄の苦しみからつかの間逃れられるらしい。

鬼も休むという地獄の釜の蓋が開く日は、
奉公人が暇をもらって親元に帰る日でもあり、これを「藪入り(やぶいり)」という。
「藪入り」の意味は、「草深い地に帰る」だそう。
奉公人が、正月とお盆にわずかの休みをとり、厳しい仕事から解放され
自然豊かな故郷に戻って、親孝行するというわけだ。

こうして書いてみると、日本の文化って自然ととても密着している。
しみじみ、いいなあ、すごいなあと思うのだけど、
こんなことが、このところの日本の感覚からとても遠いところにあるような気がする。