アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

エム・バタフライ

2015-08-08 18:18:58 | 映画
『エム・バタフライ』 デヴィッド・クローネンバーグ監督   ☆☆☆☆  クローネンバーグが『戦慄の絆』『裸のランチ』に続いてリリースした作品。この当時私は心からクローネンバーグに心酔していて、そのクローネンバーグが「マダム・バタフライ」に想を得た映画を作ると聞いて大興奮した。あの、悲恋のオペラ「蝶々夫人」、プッチーニの「蝶々夫人」。そのエキゾチズムとメロドラマの美しきオペラを、クローネンバーグが . . . 本文を読む

北の夕鶴2/3の殺人

2015-08-06 22:56:29 | 
『北の夕鶴2/3の殺人』 島田荘司   ☆☆☆★  再読。島田荘司といえば、やっぱり『占星術殺人事件』や『斜め屋敷の犯罪』みたいなあっと驚く大掛かりなトリックだよな、と思う方には多分お気に召す作品だろう。同じ路線だ。私は『占星術殺人事件』には心から驚いたが、『斜め屋敷の犯罪』にはむしろ「ア、アホか…」となったクチなので、本書も微妙である。が、愉しめなかったといえば嘘になる。それにトリック以外にも . . . 本文を読む

未来派野郎

2015-08-04 21:30:27 | 音楽
『未来派野郎』 坂本龍一   ☆☆☆☆☆  坂本龍一が『音楽図鑑』『エスペラント』の後に発表したアルバムである。『エスペラント』は頼まれて作ったダンス音楽だったので、純然たるソロ作品としては『音楽図鑑』に続くものと考えていいだろう。  坂本龍一のアルバムをすべて聴いたわけじゃないが、聴いた中では『音楽図鑑』と『未来派野郎』の二枚が一番気に入っている。この頃の坂本龍一の硬質な音と、前衛性とポップ . . . 本文を読む

ガープの世界

2015-08-02 22:53:16 | 映画
『ガープの世界』 ジョージ・ロイ・ヒル監督   ☆☆☆☆☆    日本版DVDを購入して鑑賞。原作はジョン・アーヴィングで、この人の小説はまだ『ホテル・ニューハンプシャー』しか読んだことがないが、その限りで言わせてもらえば、この映画はジョン・アーヴィング独特のあの雰囲気をなかなかうまく表現できていると思う。監督はジョージ・ロイ・ヒル。『スティング』『明日に向かって撃て』のイメージが強いヒル監督だが . . . 本文を読む