崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

『イスラム国とテロリズム』

2015年08月06日 05時25分36秒 | 旅行
佐渡龍己博士が『イスラム国とテロリズム』を出版した。彼が博士論文を書き始める時私はテロリズムとはそのテロ主体の民族や国家、宗教などを検討することに、つまりテロリズムの両面から見ることについて議論した。今度の本にはそれを強く反映していることが感じられた。イスラムやコーランなどとテロリズムを考察して、「イスラム・テロリズム国家は不滅」とも書いている。日本は今安保法案が課題になっているが、将来は戦争よりテロリズムがより大きい問題となっていく。心の戦争のようなテロリズムへ両方からの理解が必要である。
 植民地は時代と歴史の大きい事実であり、一言でいえるものではない。否定的肯定的な面を持っている。韓国では絶対収奪論が強く存在するが逆の論があってもよい。日本植民地によって近代化されたという見解は事実であり、非難することはあっても事実を否定することはできないと思う。また日本の侵略と植民地の否定的な面も事実である。それも否定することはできない。ただすべてを暗黒と表現するのは正しくない。その全体像をもって時代、社会を理解するのは当然ある。それこそ「さまざま論」的な論や意見がありうる。
 SAPIO9月号に日本植民地の統治によって韓国は近代化されたという私の文が引用されている。引用し、引用される時注意すべき点である。語録や本の一節を切り抜いて問題にする場合がある。それは私の植民地研究の結果をもって言った一つの見解であり、世間的な好き嫌いの意見ではない。引用文は私の研究からの一部であり全部ではない。全体図の中で部分図を指すものである。私の全体図の+-の一部の見解である。
 私の人生においては植民地より朝鮮戦争という悲惨な、嫌な時代があった。植民地から解放されて自民族間の朝鮮戦争と日本の植民地は対照的に私の人生の中で葛藤している。戦前の植民地と戦後の独裁政権が私の体中には共存している。朝鮮戦争の辛さからその前の時代を肯定的にも見ているかもしれない。

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