崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

真のグローバル化はまだ遠い

2014年01月20日 06時03分53秒 | エッセイ
 韓国のある評論家が日本の人気料理漫画『味の達人』の著者雁屋哲(73)氏が書いた「日本の食べ物にはもはや希望がない」と主張したことを引用しながら福島原発事故の深刻性を指摘し、ユネスコ人類無形遺産で日本の「和食」が選ばれたことにも否定的に述べ、日本は韓国に謝罪すべきだと言う漫画も添付して(写真)FBに書いて反響が大きい。放射能の問題を指摘したのは客観的といっても「和食」と「謝罪」にまでつなげて論じているのを読むと、いわば「日本亡国論」の類のように思われる。私は日韓関係の悪化が政治レベルだけであり、一般的にはまだ健全だと楽観的に見ていたがこの文を読んで大きく憂いを持つ。
 この話をもって在日の友人と話をした。彼は日本の食べ物の清潔、安全性を高く信頼し、少なくとも韓国や中国から非難されることはないという。日本にも食中毒、今問題になっているソロウィルス、農薬などの問題があるが、そのたびに日本人は和食に信頼感を増している。日本は伝統的に魚を生で食べるほど衛生感を持っている文化である。しかし和食が好き嫌いは別としてキムチ以外に和食も文化遺産か、とか、謝罪云々するのは的外れであろう。在日の友人は韓国のこのような否定的、非難がすぐ在日がへートスピーチされることを心配する。真のグローバル化はまだ遠い。

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