崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「火遊び」「火の海」

2013年03月08日 05時12分55秒 | エッセイ
「火の海」という言葉は私にとってはなじみのある言葉である。北朝鮮の常套的な威嚇の言葉である。今度はソウルとワシントンを「火の海」にするという。この常套的な言葉には威嚇性が弱いと思ったか、北朝鮮側は「停戦条約」を破棄し、「統一戦争」にも触れ、まさかの宣戦布告のような発表をした。南北間の緊張が高まり、驚いている。しかし韓国人はそれほど驚かない。古く韓国政府はしばしば北朝鮮の挑発を政治的に利用してきたので、このような言葉は聞き慣れているからである。また韓国人は北朝鮮から中国へ脱北して韓国に来ている者たちを通して北朝鮮が如何に貧乏な国、軍事的にも弱い国であるかを実感しているからであろう。若い指導者の体制、軍事指揮部の「火遊び」と思う人が多いかもし知らない。今高齢化社会で若い指導者が期待されている。しかし人命尊重優先の正義感、平和への強い情熱が「火の海」になるのではないかという憂いがある。
圧力と対話というのがアメリカと日本の対北朝鮮の政策であるが、対話にはなっていない。アメリカはキューバなどまだ敵国関係の国家が多い。日本に日朝関係の正常化を望んでも無意味であろう。日本は日米安保条約もあり、親米関係上北朝鮮を敵国としている。そして「拉致政局」を維持している。敵国を前提にしている状況で戦争が起こりやすいのは当然であろう。アメリカに願いたい。火遊びの子供を大人が守ってあげるのが大国である。対話を積極的に推進してほしい。韓国は国家の品格が踏み滲まれても北朝鮮を刺激してはいけない。それは戦争を避け、人命を守るというもっとも聖なる正義であるからである。シリアの内戦の記事を読みながら国民がそれほど人命被害を受けても政権を握っているアサド氏は罰されるべきである。李承晩大統領が学生が数百人殺されたことを知って政権を手放したのは偉大な判断だった。今米韓軍事練習は中止すべきである。アメリカは対話を勧めてほしい。