毎年卒業式のシーズンになると卒業する生徒が少なくて小人数が寂しく、また最後の卒業式がニュースになる。今年は大震災で卒業式が中止になるところも多い。そのなかでここ東亜大学では卒業式が予定通りに行われた。北京から来られた金在国氏が登壇して博士号を受けた。彼は中国朝鮮族の作家として数多く受賞された方である。十数年前中国の長春で私が本屋で彼の作品を立ち読みし、彼を訪ねて会って、以来広島大学に留学するようになり、十数年ぶりに「在日ナショナルアイデンティティの研究」で学位を取ったのである。彼自身が感慨無量であろうが、私もそうであった。私は新著に「金在国博士恵存」と書いてあげた。
50歳過ぎの彼に私から注文が多かった。某大学の日本語学科の教員に新規採用される彼に私は人間関係や生き方について多く語った。新しい大学に安定した時、私は関係者へ挨拶に行くことを約束した。彼に創作、研究を勧めながら彼の学者としての生活を頼んだ。彼は私の言葉を忘れないように映像にためたり頷いたりした。博士を取られて職場について安定して研究を怠ける者になった人を見ているので老婆心からである。社会へ出る多くの卒業者にも社会の中で「この世の塩になってほしい」。