崔吉城との対話

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真鍋祐子著『光州事件』

2010年06月13日 05時39分21秒 | エッセイ
 東京大学の真鍋祐子教授から『光州事件』(平凡社)が送られてきた。光州事件とは1980年韓国光州で起きた民主化デモを全斗煥・盧泰愚が武力弾圧して大きな犠牲を出した事件である。後には民主抗争運動などと呼ばれるようになった。政治的には「金大中の復権と光州と全羅道の勝利」(本文14ページ)とも言われるが慶尚道の全羅道への地域差別による政治的、軍事的な弾圧として受け止められた。その暗史を足で歩きながら調査研究したものが本書である。
 私は当時慶尚道の啓明大学に在職していた。その事件の後、全羅南道海南でクッが行われると連絡を受けて故福留範昭氏と李鎮栄君(現在名桜大学教授)と一緒に行った。その時、慶尚道から行ったということで一箇所の注油所からは断わられ、クッの現場から深夜に追い出されたことがある。私の差別への関心はいっそう強くなった。その被差別の地域に、さらに被差別のムーダン(巫)の存在の研究が一層深められた。真鍋教授の本を深く読むべきである。