崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

新著の表紙

2010年06月02日 04時55分43秒 | エッセイ
 韓国民俗苑から6月発行予定の新著の表紙が決まった。出版社のデザイナーが選んだ表紙写真は私が丁度40年前我が生まれ故郷の京畿道楊州で行なったクッの時、撮ったものである。当時ドキュメンタリー会社が日本テレビで放映中の「素晴らしい世界旅行」に韓国のシャーマンを紹介するための死霊祭であった。牛山純一社長と市岡康子氏やカメラマンなどがソウルの半島ホテルに留ってクッの現場を見つけようとしたがなかなか機会が得られず、時間が経っていた。それで我が生まれ故郷で私の母の死霊祭のオグクッを行うことにした。ソウル大学の恩師の李杜鉉先生と東京大学の泉靖一先生の友人から、また牛山純一氏、私の大学の先輩である張籌根先生の協力によるものであった。
 急に親族と相談の上撮影のために昼からすることになった。男巫李芝山グループが巫女たちを連れてきて、ソウルから私の姉も参加した。張籌根先生が通訳できてくれた。写真はシャーマンの神託で姉が中央に立ってそれを受けている場面である。この映像は今では貴重な資料となっている。私が日本に住むことになって姉が訪ねてきた時、リトルワールドを案内し、博物館内の映像に「韓国のシャーマン」というタイトルを見て映像を見て驚いたのは私だけではない。姉自身が映っていたからである。良い思い出の写真である。