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一茶を読む:七番日記(37)


■旧暦12月29日、火曜日、

(写真)in Basel

午前中、叔母の脳のCTスキャンの結果をA病院まで。中程度の認知症。アルツハイマー型と判明。薬は出るが、そう劇的に変わるものではなく、飲まないよりはいい、という程度という。病気の進行は止められない。今のところ、施設は頑なに拒否しているので、申込書は取ってあるが、書かないままになっている。その叔母から、過日、意外な一族の過去を聞いた。人に自慢できるようなものじゃない。とんでもない過去である。曾祖父の代まで遡ると、歴史は一挙に、闇を深める。曾祖父の長男、うちの祖父の兄にあたる人間の悪行の数々の話だった。戦争中のことである。亡くなった弟の妻を妾にし、狂った自分の正妻を座敷牢に閉じ込めて狂死に至らしめるのである。この妾になった女(素性がまったく知れないという。一説には女郎とも)も、金目当てで共謀している。この女は、戦後、長男から、土地をせしめて、あるところに住んでいたが、養子の娘の婿に来た男性をいじめ抜いて、自死に至らしめるのである。こうした連中の血は、直接、ぼくには流れ込んでいないが、関係者であることは間違いなく、この話を聞いた晩は、耳鳴りがひどく、よく眠れなかった。叔母も、もう長くないと、悟っているのだろうか。今まで禁欲していた話が、語られるようになってきた。とくに、戦争中に、この男から受けた数々のひどい仕打ちは、忘れらないものになっているという。このとき、叔母は小学生である。叔母の母親、つまり、ぼくの祖母にまで、この男の魔手が迫ってきたため、あわてて、疎開先から東京へ戻ったのだという。まるで、小説のような話で、にわかに、信じがたいものがあるのだが、事実は小説よりも奇なりである。化け物じみた、この男とその妾については、嫌悪感を覚えるものの、一方で、妙に、好奇心をくすぐられる。歴史は、どこか、その暗い部分に、コアがあるように思えるのである。




我に似た能なし山もかすみ哉   文化九年

■このとき、一茶50歳。自分と同年齢のときに、一茶は何を考えていたのか。大変興味がある。自分をこれだけ、突き放せるのは、自虐というより、ユーモアを感じる。



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1月31日(月)のつぶやき

09:43 from web
Egyptian protesters need our support -- join me in signing on in solidarity! http://avaaz.org/egypt
by delfini_ttm on Twitter
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一日一句(13)





いつのまに五十になりし雪達磨










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