西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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サンドとマンソーの静けき愛

2011年02月04日 | 海外のG.サンド研究
 『ル・プワン』誌が、サンドと彫刻師アレクサンドル・マンソーとの愛を描いた歴史家エヴリーヌ・ブロック=ダノ Evelyne Bloch-Danoの『ジョルジュ・サンドの最後の恋人』という近刊書を紹介しています。が、これより先、1992年に、すでにサンド研究者がほぼ同名のタイトルの書物を著しています。

 二人が恋人関係となったのは、サンド45才、マンソー32才、1849年のことでした。マンソーはサンドの秘書役となって献身的に尽くしました。二人の静かな愛は15年間もの長きにわたって続くことになりますが、マンソーはサンドが過ごす日々を「マダムは今日何々をした」という具合に、几帳面にアジェンダに記していました。

 マンソーは、サンドが二人の愛を邪魔する息子モーリスや気性の強いわがまま娘のソランジュから離れて作家の仕事に専念できるようにと、ガルジレスという小村の一軒家を彼女にプレゼントしています。
 1843年のこと、サンドはショパンや子供達と一緒に馬車に乗り、あるいはラバに跨ってクルーズ川まで遠出のハイキングをしたときに通りかかった村でした。
 ガルジレスがサンドのお気に入りの仕事場となったのは、ショパンと別れてから10年以上経った、1857年から1864年までのことでした。

 サンドは、マンソーとの愛について、次のように書き残しています。

「私は、心から彼を愛しています・・・彼との年齢差にもかかわらず、私の愛には驚くほどの静けさがあるのです。・・・私はまるで変身したようです。体調は良く、心は落ち着いていて、幸せで、彼の不在さえ、すべてを耐えることができてしまうのです。愛する人が傍にいないことに我慢できたことのない私が言うのですから、おわかりでしょう・・・私はとても幸せなのです・・・愛され完全に愛すことができるということは、とても心地よいことですもの、その終わりを予想するなんて愚かしいことです・・・私は46歳で白髪がありますが、そんなことは関係ありません。人は若い女よりも年上の女を愛するのだということが、今ではよくわかります。どうか神がこの愛を長続きさせてくださいますように。なぜなら、これは善き愛なのですから。」

 この小さな村がとりわけサンドの気に入ったのは、ここには「アンジェラ」というアルジェリア産の珍しい蝶が生息していたからという理由もあったのでした。サンドは蝶に興味を持ち、標本を作っていたことはよく知られています。現在、ノアンから車で行くのに小一時間を要するガルジレスのこの小さな家は博物館となって公開されていますが、そこには、サンドとモーリスが収集した蝶の標本が飾られています。

 その後、サンドとマンソーは、今も現存するPalaiseauパレゾーというパリ郊外の町の瀟洒な家に身を落ちつけることになるのですが、マンソーもショパンのように結核で命を落とします。
 この本の題名『ジョルジュ・サンドの最後の恋人』は、あたかもマンソーがサンドの人生における最後の恋人であったかのように読者に思わせ誤解を招きやすいので、少し気をつける必要があるでしょう。

Le Point - Publié le 27/01/2011 à 13:10

George Sand, femme cougar
Évelyne Bloch-Dano raconte "Le dernier amour de George Sand", une des femmes les plus célèbres du XIXe siècle.

Par Marie-Françoise Leclère

Dans la galerie des amants de Sand la scandaleuse, il en est un fort oublié, le graveur Alexandre Manceau. À côté d'un Musset ou d'un Chopin, il ne faisait pas le poids. Et pourtant ! Lorsqu'en 1849 elle rencontre cet ami de Maurice, son fils adoré, George Sand est au faîte de sa gloire mais aussi à l'heure des bilans : la révolution de 1848 a échoué, on meurt beaucoup autour d'elle, sa fille, Solange, la déçoit, elle a peur de vieillir : elle a 45 ans. Alexandre en a 32. Ils vivront ensemble jusqu'à la mort d'Alexandre, en 1865.

Est-ce l'histoire d'une femme cougar et de son gigolo ? Ces amants-là ne sont pas de cette trempe. Alexandre est dévoué jusqu'au sacrifice, mais il est fort et sait s'affirmer. Avec lui dans l'ombre, l'indomptable George va faire des étincelles. Travail forcené, engagements multiples, drames familiaux, bonheurs et chagrins, ils vont tout partager, ce qu'Évelyne Bloch-Dano raconte en historienne sensible. Elle a trouvé, avec Alexandre, un biais inattendu pour dresser un portrait nouveau de cette George Sand dont on croyait tout savoir. La voici dans ses oeuvres, ses élans et ses contradictions, vivante. Le défi était beau, il est impeccablement relevé.

Le dernier amour de George Sand, d'Evelyne Bloch-Dano (Grasset, 316 p., 20 euros).

画像は元サンド学会会長(フランス) Anne Chevreau著『アレクサンドル・マンソー ジョルジュ・サンドの最後の愛』(2002, Christian Pirot)です。

Anne Chevreauアンヌ・シュヴロ氏には、かつてAntonyのご自宅にご招待いただいたことがありました。日本人としては、加藤節子さんに次いで二人目とのことでした。ジョルジュ・リュバン氏が刊行されているサンドの書簡集について話題が弾んだこと、ご自身お手製の杏のタルトがとても美味しくお替りをして喜ばれたことをエジプト学を研究していらしたご主人の笑顔とともに懐かしく思い出します。

Anne Chevreau,"Alexandre manceau le dernieramour de george sand"
2002, Christian Pirot
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