どんなに上手に隠れても |
人さらいの岡嶋二人です。
テレビ局での収録中にアイドル歌手が誘拐をされて、一億円の身代金を要求されます。
その身代金の受け渡しを警察がしっかりと追うものの緻密に計算をされた犯人の動きに翻弄をされて、気がついたときにはまんまと一億円を奪われてしまいました。
誘拐事件のおかげで時の人となったアイドル歌手のレコードは売れまくり、またそのアイドル歌手が出演をしていたCMメーカーの商品も販売数を伸ばすなど利害関係が複雑に絡み合う中で突然に浮かび上がってきた疑惑、殺人事件、そして事件は急転直下で解決に向けて動き出すといった流れとなっています。
やられた、というのが正直なところです。
この手のミステリーは自分なりに伏線を拾い読んで犯人やトリックを想像するのが楽しみなのですが、深読みをしすぎたと言いますか撒かれた餌に食いついてしまったと言いますか、さすがにそれは分からないやと諦めモードながらも完全に引っ掛けられたといった感じで悔しくてなりません。
もう少し深掘りが欲しかったですが登場人物の人の良さ、醜さがいい感じなスパイスになっていましたし、これは2時間ドラマにピッタリなストーリーではないかと思います。
肝心のトリックの細かな手口が明らかにされないままに終わってしまったこと、やたらと思わせぶりな終わり方の意味が分からなかったことが自分にとってのマイナスではありましたが、重すぎず軽すぎず、そのバランスが絶妙な感じで名作と言っていいのではないかと、かなりお奨めな誘拐劇でした。
2013年11月6日 読破 ★★★★☆(4点)