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消えた戦国武将 |
内ヶ嶋氏理、という武将をご存じの方は、そう多くはないのではないかと思います。
飛騨帰雲城主だった氏理はしかし戦国の世の流れからすればちっぽけな存在で、飛騨では姉小路氏を冒した三木氏の方が有名でしょう。
その氏理は本能寺の変の後の織田家中の争いの中で地理的要因から佐々成政に与しましたが、その成政があっけなく秀吉の軍門に降ったことで同じく羽柴氏に臣従をします。
しかし和睦が成ったことを祝うために一族郎党が帰雲城に集ったときに運悪く天正大地震が起こり、大規模な山崩れで城ごと全員が押し潰されて滅亡をしてしまいました。
この帰雲城の周りには大小七つの金山、銀山があったことでお約束のように埋蔵金伝説があり、消えた氏理とともに紐解いていくといった謳い文句な作品となっています。
結論から言えば、詐欺に近い謳い文句でした。
鎌倉時代から安土桃山時代ぐらいまでの飛騨の状況、姉小路氏や三木氏、一向一揆などの動きの解説はそれはそれで興味深いものがありましたが、ただそれだけです。
肝心の氏理はおろか、内ヶ嶋氏にかかる描写は全体の一割にも満たないのではないかと、当然のように何の謎解きもしていません。
起承転結もなく淡々と歴史上の史実が書かれているだけで、肩すかしもいいところです。
予めそういった歴史書と割り切って読めば問題はないのでしょうが、この謳い文句にドキドキしながら手に取られたら失望をすること請け合いです。
いくら何でも酷すぎる、JAROに通報をしたくなるような一冊でした。
2013年11月20日 読破 ★★☆☆☆(2点)