電脳筆写『 心超臨界 』

自由とは進化向上のチャンスにほかならない
( アルベール・カミュ )

用意ができたとき師が現われる 《 黒澤明監督——加山雄三 》

2024-07-15 | 03-自己・信念・努力
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禅の中に、「用意ができたときに師は現われる」という教えがあります。自分に準備がなければ、すべては無意味な存在でしかないということです。意志が生まれたとき、手をさしのべる師は現われる。師はいたる所にいる。ふと目にした新聞の記事や子供の質問に答えた自分の言葉であることもある。「師はどのように現われるのか?」との質問への答えは、「これがそうだ」という以外にない。たとえば死にかけた虫を見て、自分の中に同情心がかき立てられた瞬間に、師が出現したことになるのである。


特に「赤ひげ」の物語は、測ったように僕の人生とダブった。僕の演じた安本登は御殿医を目指すエリート青年。貧しい人たち相手の小石川養生所で働かされることに我慢がならず、やめよう、やめようとばかり考える。しかし、人々を黙々と救っていくベテラン医師、赤ひげ先生(三船敏郎さん)の姿に共感し、人間の真実に目覚めていく。僕にとって小石川養生所は撮影所、赤ひげ先生が黒澤監督だった。


◆黒澤明監督

《 唯一無二の先生 》 俳優・加山雄三 (16)
黒澤監督の怒声に緊張――「いつやめよう」の迷い消える
(「私の履歴書」09.07.16日経新聞(朝刊))

「映画で一旗揚げて、船をつくればいい」。そんな不純な動機で俳優になった。本当に一旗揚がってしまい、僕は「いつやめようか」とばかり考えていた。

そんな思いを吹き飛ばしたのが、「椿三十郎」(62年)と「赤ひげ」(65年)への出演、つまり黒澤明監督との出会いだった。「椿三十郎」では若侍のひとり、「赤ひげ」では小石川養生所の赤ひげ先生の下で働くことになった若い医師を演じた。

恐ろしいほどの読みの深さ、頭の回転の鋭さ。黒澤監督のような才人に会ったのは初めてだった。それまで自分にはいろんな才能、能力があると思っていた。要するに僕は、若くて思い上がっていた。監督のような人が映画界にいるのなら、自分もこの世界で生きてみようと思った。

特に「赤ひげ」の物語は、測ったように僕の人生とダブった。僕の演じた安本登は御殿医を目指すエリート青年。貧しい人たち相手の小石川養生所で働かされることに我慢がならず、やめよう、やめようとばかり考える。しかし、人々を黙々と救っていくベテラン医師、赤ひげ先生(三船敏郎さん)の姿に共感し、人間の真実に目覚めていく。

僕にとって小石川養生所は撮影所、赤ひげ先生が黒澤監督だった。僕の人生で「先生」と呼べるのは、黒澤明監督しかいない。「映画のネオリアリズムと一般常識のリアリズムとは違うんだよ」。後に我が家に遊びに来られたとき、延々と映画論を聞かせてくださったのを思い出す。

「椿三十郎」では、撮影所の中でも、常に本物の刀を腰に差しておけといわれた。竹光とは全然違って、重みで帯が次第に下がってくる。「それが狙いなんだ」という。台本の読み合わせでも、ちょんまげを結い、正座して読む。身のこなしなど、演技以上のものを要求するわけだ。

「仕事を何だと思っているんだ。もう用はない。帰れ」。俳優やスタッフが何かしでかすと、監督の大目玉が飛ぶ。そんな様子をよく目にした。聞きしにまさる厳しさだ。

富士山麓(さんろく)の御殿場ロケでも、僕は本物の刀を差していた。鯉口(こいぐち)を切ってスーッと抜き、目の前の細い木に向かってスパーンとやったら、バサッと切れた。「おお、すげえ。やっぱり本物だ」。僕は調子に乗って、2本、3本と切りまくった。

「バカヤロウ」。小道具さんが飛んできた。「加山ちゃん、何やってんだよ。刃がこぼれたらどうしてくれる」。すごい剣幕(けんまく)で、僕はシュンとなってしまった。

もうひとり、大柄な男がすっ飛んできた。黒澤監督だ。「やばい、殴られる」。しかし、監督は小道具さんの後頭部をつかんだ。「バカヤロウはおまえだ。余計なこと言うんじゃない。刀はそうやって覚えるんだ」。小道具さんは投げ飛ばされてしまった。

「椿三十郎」の撮影で、若侍がずらりと並んで座るシーンがあった。誰かセリフでつっかえて、何遍も同じことをやらされている。僕はカメラから一番遠い末席にいて、何もセリフはない。眠い、いや頑張ろう、眠い……。肩をコンとこづかれてハッと気づいた。「おまえ、寝てただろう。いま本番だったんだぞ」と助監督がささやく。黒澤監督がすっくと立ちあがった。「かやまぁ」。低い声が響き、全員が凍りついた。
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