【渡辺】 釈明史観主義の歴史家がもっとも嫌う事実の一つがヒトラー政権時代の経済運営の成功です。ナチスのユダヤ人迫害が目立ち始めるのは1938年11月以降のことですが、その事実は当時ほとんど知られていませんでした。ヒトラーが1933年初頭に政権を奪取してから38年までの時代は、彼の反ユダヤ人の訴えは世論を意識したもので、主張と行動は別であると見る識者が多かったのです。 . . . 本文を読む
唐の均田法の主旨は生産能率の向上であり、労働力に応じて土地を配分するという近代的な発想にもとづくものであった。これに対するわが国の班田法は、豪族の土地私有を抑えて、公民の生活を安定しようというものである。したがって唐制において土地を持つことのできる者は、18歳以上の男子のみであるのに対し、日本においては6歳以上の者は男女子(だんじょし)ともに土地をもらった。 . . . 本文を読む
人格というものは、この世の中でもっとも大きな人を動かす「原動力」の一つである。高潔な人格には、人としてあるべき理想の姿がある。その人が最善の力を尽くして生きているからである。どこの誰であれ、勤勉さ、清廉潔白さ、高邁な志、堅実な主義や思想などのすぐれた資質を持つ人物は、知らず知らずのうちに周囲の尊敬を集める。 . . . 本文を読む
長生きするにつれ、ますます確信を持っていえることがある。強者と弱者の違い、偉人と取るに足らない人間との違いは、その人間が旺盛な活力と不屈の決意を持っているかどうかにかかっている。ひとたび目標が定まったら、あとは勝利か死のいずれかしかない――そう断じ切る決意が大切なのだ。旺盛な活力と不屈の決意さえあれば、この世に不可能なことは一つもない。 . . . 本文を読む
春があって夏があって、秋があって冬があって、日本はよい国である。自然だけではない。風土だけではない。長い歴史に育まれた数多くの精神的遺産がある。その上に、天与のすぐれた国民的素質。勤勉にして誠実な国民性。 . . . 本文を読む
「縁あって人間世界に生まれてきた以上は、できるだけ強く長く、そして広く深く、健康も運命も完全に生きなければ二度と出てこれない世界だ」、とこう気づいたら明日からおいでなさい。ご自身で考えなさって、本当に命が大事だと思う方は、人生に対する本当に階級の高い理念が心のなかに閃(ひらめ)きだした人なのであります。 . . . 本文を読む
「私たちの社会や人生で、物ごとや現象が、生じたりなくなったりする根本的な原理を、仏教思想で〈空(くう)〉といいます。この原理を観念でなく、何らかの形で体験として学んでみませんか。 . . . 本文を読む