そもそも李朝時代はみな貧しくて、民間人は色のついた服は着られませんでした。食べ物にすら困っているのに高価な輸入品である染料を買えるはずがありません。だからみんな白い着物を着ていた。色ものを着られるのは富裕層や特権階級だけでした。朝鮮人の衣服が白いので、沿海州に入植したロシアの先兵であるコサックたちは、朝鮮人を「白鳥」という隠語で呼んでいたそうです。 . . . 本文を読む
世界共通の本初子午線の基点としてグリニッジ天文台が公認される以前、フランス人にとってのゼロ度の経線はパリのサン・シュルピス教会を通っていた。真鍮の標識はその事実を記念したものであり、1884年にグリニッジにその名誉を奪われたものの、元来のローズ・ラインとしていまも残っている。 . . . 本文を読む
わたしが足の裏の礼賛者になったのは、参禅をしてしみじみと足の裏を見るようになってからである。あるときはひとり山上に坐して、足の裏を太陽に向けて日の光を当ててやったり、あるときは月下に坐して、月の光を当ててやることもあった。
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人生五十年の時代だ。「初めの老い(初老)」は四十歳を指す。その後(老後)の衰えはあきれるほど、それゆえ、「ただ利害を破却し、老若を忘れて、閑(かん)にならんこそ、老いの楽しみとはいうべけれ」。「芭蕉俳文集」(堀切実編注)によると、芭蕉はこのくだりで「老荘思想に基づく無為にして清閑の境地の積極的な意義」を説いた。 . . . 本文を読む
「正力君、朝鮮人の暴動があったことは事実だし、自分は知らないわけではない。だがな、このまま自警団に任せて力で押し潰せは、彼らとてそのまま引き下がらないだろう。必ずその報復がくる。報復の矢先が万が一にも御上に向けられるようなことがあったら、腹を切ったくらいでは済まされない。だからここは、自警団には気の毒だが、引いてもらう。ねぎらいはするつもりだがね」(後藤新平)
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小学校しか出ていない者が総理大臣になれるのなら、東大や京大などつぶしてしまうべきだ。世界に出しても恥ずかしくない政治家をつくろうとして、国家はそうした大学に法学部を設けたのだから、そこから総理が出なくなって、小学校出が総理になれるのだったら、もはや大学なんてつぶしたほうがいい。
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この句の前に「人面不知何処去」(人面(じんめん)は知らず何(いず)れの処(ところ)にか去る)という句があって、対句となっています。去年会った人は、もうどこかへ去ってしまって、そのゆくえは杳(よう)としてわからないけれども、桃の花は、今年も去年と同じように、春風に微笑むがごとく美しく咲いているという意味です。一応この句は、「世の中の人間は変わるけれども、自然は少しも変わらない」と解釈できます。 . . . 本文を読む
とくに中国の工作活動については、「三戦」というものが基本になっている。日本の防衛省が2018年に発表した『平成30年版防衛白書』によれば、「三戦」を次のように説明している。中国は、軍事や戦争に関して、物理的手段のみならず、非物理的手段も重視しているとみられ、「三戦」と呼ばれる「輿論(よろん)戦」、「心理戦」及び「法律戦」を軍の政治工作の項目に加えたほか、軍事闘争を政治、外交、経済、文化、法律などの分野の闘争と密接に呼応させるとの方針も掲げている。 . . . 本文を読む
私は著書などで何度も指摘しているが、大災害時の増税はありえない。大災害が100年に一度なら、復興費用は「100年国債」で調達するのが原則である。大災害時の増税は経済学の課税平準化理論にも反するもので、古今東西行われたことのない愚策だ。 . . . 本文を読む
不当な警察攻撃が広がることで、最も被害を受けるのは黒人が多く住む地区の中下層の人々である。近年、暴動を伴う反警察運動が起こった地域では、いずれもその後、凶悪犯罪の数が顕著に上昇している。下手にトラブルに巻き込まれ「黒人に暴行した」と言われると解雇、起訴となりかねないため、警察がパトロールを避けるのである。その結果、無法地帯化し、商店が去り、雇用が失われる。 . . . 本文を読む
中国共産党の首脳部も、本質的にはリアリストですね。彼らは「世界を共産化したい」などと考えてない。彼らがつねに真剣に考えてきたことは、「どうしたら中国の覇権を強化できるか。どうしたら中国の勢力圏をよりいっそう拡大できるか」といことです。毛沢東も周恩来も小平も江沢民も、みな、タフで柔軟で意思の強固なリアリストでした。
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東芝機械がココムに違反して不正輸出した工作機械によって、ソ連原潜のスクリュー音が静粛になった。アメリカ海軍に大きな脅威をもたらし、日本の安全保障を揺るがしかねない政治問題に発展したのだが、バレなければ、瀬島にとっては「スターリン勲章」ものの大仕事だったはずである。 . . . 本文を読む
【 ピーター・ドウス(Peter Duus, 1933年 - )】
アメリカ合衆国の歴史学者。専門は日本近代史、日本帝国史研究。スタンフォード大学名誉教授、同フーヴァー研究所研究員。ハーヴァード大学で博士(歴史学)の学位を取得。イギリス帝国史研究で進展した「非公式帝国」論など、帝国史研究における新しい概念を導入することで、戦前日本の帝国史・植民地統治に関する研究の進展を促進した。作家のドウス昌代は妻。妻の著作の英訳も担当している。 また、1990年には夫婦で長谷工アーベストのCMに出演している。〔 ウィキペディアより 〕 . . . 本文を読む
江戸後期、北海の防衛が問題になったとき、工藤平助が『赤蝦夷風説孝(あかえぞふうせつこう)』というロシア事情研究所を書きました。そこで著者の指摘するところは意味深長なのです。ロシア人には、これから攻めこもうと企んでいる土地について、そこは元ロシアの領有するところであったと、真赤な嘘をあらかじめ言い立てて、それから侵入してゆくという癖がある、というまことに穿(うが)った監察が記されています。 . . . 本文を読む
ヨーロッパ中心史観ということばがある。この『欧州共通教科書』は従来の各国史よりもさらに一段とその傾向を強めている。ヨーロッパとは何か? の自己確認(アイデンティティ)を求めて「共通教科書」が書かれたのだから、今までより自己中心的になるのは当然かもしれない。 . . . 本文を読む