2024/08/02 読売新聞オンライン
名物となった手書きの絵看板で飾られる御成座(1日、大館市で)
大館市御成町の映画館「御成座」で3日、劇場再開10周年記念の映画祭が開幕する。25日まで30作品を日替わりで上映し、初日夜の「青春ジャック」には俳優の井浦新さんら出演者と監督が舞台あいさつを行う。
米アカデミー賞歌曲賞を昨年獲得したインド映画「RRR」は11日、大量の紙吹雪と歓声で楽しむ「マサラ上映」を行うほか、ブルース・リー主演の「ドラゴン」シリーズや邦画「野火」「海辺の映画館」「陽炎座」などジャンルは多彩で新作も目白押しだ。
御成座は昭和期の映画全盛期を支えて2005年に閉館。シネコンや動画配信など鑑賞スタイルが変わる中、9年後の14年7月、千葉県市原市から移住した切替義典、桂夫妻が劇場を再開させた。客席は200席で最も観客を集めたのは「RRR」で約3か月で2000人超。次いで地元ゆかりの人物を題材にした「母 小林多喜二の母の物語」が1620人だった。
館内では落語や演劇、プロレス、カラオケなども催され、地域文化の発信拠点ともなった。当初のフィルム上映からデジタル上映に変わり、客層は地元の年配者から今はSNSで遠方から来る若い世代も増えた。
映像技師の遠藤健介さん(46)は「まさか10年続くとは思ってもいなかった。今後も工夫を凝らし、地元の方々も足を運ぶ作品を上映していきたい」と話している。