2021年7月2日 9:40 京都新聞
参照記事
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/589199
JOCや国内競技団体、五輪ミュージアムが入る「ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア」
「チャイニーズ・タイペイ」ではなく「台湾」として五輪へ-。そんな思いが詰まった13万筆を超えるオンライン署名を、JOC(日本オリンピック委員会)は受け取らなかった。
25日、署名を呼び掛けた日本、台湾、米国の人たちが直接届けようと、新国立競技場向かいのJOCが入るビルに集まった。事前に担当者に面会を希望したものの、応じてもらえず、アポ無しでの訪問だった。
「批判をするわけではない。署名を渡したいだけ」「10万人以上に委託されている。帰るわけにはいかない」。入館を拒否する警備員と10分ほど入口で押し問答となったが、取り次いでもらうことも、受付に署名を預かってもらうことすらもできず、立ち去った。
この呼称の問題は根が深い。「一つの中国」を主張する大陸側は台湾を国として認めていない。1980年代以降、台湾が五輪など国際大会に参加する際は「チャイニーズ・タイペイ」が使われている。JOCがこの問題に関与したくないことは一定、理解できる。
でも、署名は一つの民意の表れだ。JOCは公益財団法人であり、国から補助金が出ている。まして国民の理解なくして本来の目的である「オリンピズム」の促進は図れない。門前払いをしていては、友情、連帯を説いた近代五輪の父であるクーベルタンが泣く。
「台湾はカントリーフラッグ、カントリーネームを使えない。それはフェアではない」。署名活動をする東京在住の米国人高校教師リンデル・ルーシーさんの訴えは、いたってシンプルだ。今夏のホスト国として耳を傾ける必要があるように思う。