駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

事実は小説より

2012年01月27日 | 

      

 そんなことがあるのだろうかという黒木亮の身の上話を日経で読んで驚き、では一体どんな小説を書く人なのだろうかと「巨大投資銀行」を読み始めた。まだ百ページほどしか読んでいないが、見知らぬ金融の世界に引き込まれ最後まで読めそうだ。果たしてどんな読後感があるのだろう。

 実社会に則した等身大の人間が描かれている小説を読む楽しみの一つに、知らない業界の内部が分かるようになることがある。経済に疎いけれども、金融取引によって浮かび出る利益を手に入れようと躍動する人々と仕組みが少し理解できそうな予感がある。昔日本では士農工商と社会の表面では位置づけられたけれども、これは日本人得意の自らをも錯覚させるからくり術だったようにも思われる。「巨大投資銀行」はお金の意味を商の意味を、それに無縁だった私に教えてくれそうな気がしている。

 日経新聞をお読みになっている方の中には、私と同じように黒木亮の驚くべき生い立ちを知り、彼の小説を手に取った方も居られるかもしれない。小説より奇なる人生に巡り合わせた人間がどんな小説を書くのだろうかと。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« まだ勝てる気がしない | トップ | 目を開かれる »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

」カテゴリの最新記事