五月が誕生月で十五歳になる。ブログを始めた頃には同年輩であった番犬トムは、4年の間にあっという間に私を追い越して、今では超高齢者の域に達した。
帰宅するとふらつく足で出迎え、ご主人に挨拶をし足元に並んで座ってくれるのであるが、私を見つめる目が微かに白濁してきている。犬にも白内障があるのだ。犬に老いの自覚や死の恐怖はないらしい?のだが、どうもその眼が憂いを含んで悲しげに見える。耳も少し遠くなったようで、ドアの開く音でムックと起き上がるのだが、どうも音の方向が直ぐには分からないらしい。
薄く白濁した彼の眼を見返しながら、果たして彼の犬生はどうだったのだろうかと、ご主人とご主人の家族に忠たらんとする他には雑念のなかったと思われるトムを思い遣る。