駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

優柔不断には雷男

2009年09月27日 | 医者
 毎日60人前後の患者さんを診察している。そうすると2,3日に一人、紹介が必要な患者さんが出てくる。紹介が必要な理由はいろいろあるが、大抵は病気が重いか高い専門性を要するかのいづれかだ。高い専門性を必要とする場合はこちらから病院(医師)を指定するが、どこの病院でも診療できる疾患の場合は患者さんの意向に添っている。
 困るのは優柔不断(ほとんどが女性)な患者さんだ。面白いことに優柔不断な人は少しでも良い方にという意識が強く、A病院はどうですかというと、あそこはどうもと急に優柔不断でなくなる。そういう患者さんには腹部外科はY先生を勧めている。彼は私より7,8歳若い決断力に優れる外科医らしい外科医だ。患者さんに迷う暇を与えず、ではこうしましょうと決めてしまう。スポーツマンでクラシック音楽が好きで、いつもにこにこしながらせかせか歩いている。エネルギーが溢れてゆっくり歩けないらしい。勿論、腕は一流で、手に負えない進行がんなどはがんセンターや大学病院へ送る謙虚さも持ち合わせている。
 彼に紹介すると優柔不断な患者さんは99%良い先生を紹介して頂いてと帰ってくる。紹介した方も、彼は適当なところでもう来なくていいよと患者を戻してくれるので喜んでいる。時には慎重なのか忘れたのか、いつまでも戻してくれない先生もいるのだ。
 なんだかY先生はとてもいい先生に思えるだろう、確かにそうなのだが。まあ、大きな支障はないのだが実は彼は大変な癇癪持ちなのだ。滅多なことでは爆発しないが、怒鳴られた本人は20cm、周りも5cmは飛び上がってしまう。私も一度その場に居合わせたことがあるが、本当にびっくりした。雷とよい勝負だ。
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