駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

学会講演を聴きながら考えた

2008年04月13日 | 医者
 土日と東京国際フォーラムで開催された内科学会に出席した。十年くらい前から週末開催となり臨床に役立つ講演がほとんどになったので、最近は毎年出席している。
 招請講演、教育講演、高血圧関連シンポジウムと聞いたが、どれもとても勉強になった。神経難病の招請講演は直接日常臨床に関係しないが、粘り強く継続された研究姿勢とその成果(臨床治療が間近)に感動した。40年前学生時代に受けた講義では神経難病に治療法はなかった。
 教育講演の中には、明日からの診療に役立つ部分もあり、早速実施したい検査も出てきたが、患者さんになんと説明してやらせてもらおうかと考えると気が重い。講師の、臨床の場ではなかなか難しい面もあるでしょうが、とゆう言葉が後押ししてくれそうだ。
 教育講演を聞きながら、自分が講演する側に居た可能性もいくらかはあったなあと、多少複雑な気持ちになった。町医者になったことを後悔はしていないが、研究を続けていれば何かできたかもしれないという気もする。
 人生にはいくつか岐路があり、あの時あちらを選べばどうなっていたかなと思うこともある。冷静に考えると、だいたいは自分の資質に沿った選択をしてきたような気がする。研究は嫌いではなかったが、興味はあっても野心が足りず、失敗しても続ける粘り強さに欠けていたようだ。
 異論があるかもしれないが、優れた研究者と優れた臨床医に求めれらる資質は異なると思っている。臨床では同じことの繰り返しに耐え、仕事や思考の中断に耐え、手を尽くしても甲斐のない徒労に耐える心と幅広い常識が求められる。
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