駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

馴染めぬ役所思考

2014年03月13日 | 医療

           

 診療報酬改定の説明会に行ってきた。相変わらず奇妙な工夫が凝らされている。高血圧、糖尿病、脂質異常症、認知症の内二つ以上の疾患がある患者さんに管理料200円を請求してよいことになった、但し、いくつの要件があり、その一つに患者さんにお薬手帳を持ってこさせ、他院で投薬されている薬の内容を自院のカルテに打ち込むことというのがある。

 お薬手帳というのは忘れたのか、見せたくないのか持ってこない患者さんは多い。認知がかった患者さんの中にはそれは何と言われる方も居る。次回持って来させればよいのかというフロアからの質問に、診察時に提示しなければ200円の請求はまかりならんとの返答。「それはおかしいなあ、お薬手帳持ってこない方が料金が安いなら、持ってこない人が出てくるかもしれませんよ。病気をきちんと管理しようというなら、忘れると料金が高くなるようにした方がいいんじゃないですか」には「そうかもしれませんが、私が決めたわけではないので」とすれ違いの問答だった。

 いずれにしても、他院の投薬をチェックするのは今でもやっており一目で出来ることだが、それをカルテに打ち込めとなれば、先生は診察の時画面ばかり見ていると批判される原因を増やすことになる。

 この他にも、院内処方であること、院外処方の場合には患者の同意と当該薬局が24時間対応であることなどを要件に挙げている。こうした要件は高血圧、糖尿病、脂質異常症、認知症のいずれかを二つ以上持つ患者に特異的に必要な条件とは思えず、診療報酬を上げるように見せて、実際にはこの請求がしにくくなるようにいくつかのハードルを設けているように思える。

 帰りがけ、F先生に「どうも厚生省のやることはわからん。どういう頭をしているんだろね」。と話しかけると、にべもなく「いつものことじゃないですか」。と名答が返ってきた。

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