駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

自分一人では

2010年01月21日 | 医療
 明け方気管カニューレの入っている患者から、咳き込んだらカニューレが外れたと電話があり、寒い朝早く来て貰った。ところが、吸引機のチューブが何処にあるかわからない。随分あちこち探し回ったのだが見つからない。いつもは手を出せば「ハイ」と出てくるのだが。忙しい朝に電話しては可哀相と、結局患者と二人で所在なげに看護婦が出てくるまで小一時間待った。
 内科の診察でも看護師が付いてくれることが、有形無形の援助になっているのだが、手を下す処置まして手術では医者一人ではそれこそお手上げだなと改めて感じた。手術は執刀医が術野から目を離せないので手だけ出てくる。必要な器具を的確に手渡せる看護師は必須だ。必要な器具名を言ってくれる外科医ばかりではないので、手術の進行具合術者の思考まで読まねばならず大変である。気の短い外科医は何度も間違えると器具を放り投げたりするので、介助者が交代することもあったらしい(今もあるだろう)。
 要するに息のあったティームで作業しないと手術はにっちもさっちもいかない。医療の質は医師一人では決して確保できない。優れたティームを醸成するのも医師に求められる能力のひとつなのだろう。
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