駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

小沢一郎の真実

2009年08月24日 | 人物、男
 私は小沢一郎の著書を読んだこともなければ、彼の評論を読んだこともない、一般の人と同じメディアから得た知識しか持ち合わせない。
 しかし私には小沢の考え方がかなり理解できる。個人的な推論だが、当たらずとも遠からずと思う。少なくとも小沢陰険陰謀説を唱えたり、田中角栄の弟子で旧来型の政治家だと断ずる政治評論家よりも当たっているだろう。勿論、角栄や金丸に資金の必要性や庶民の心の機微に踏み込む大切さを学んでいるとは思うが。
 小沢の特徴は理解されなくても説明し直さない、分からない人はそれでよいとするところにある。それが良いこととは思わないが、その小沢流を無視されたと感ずる評論家は余計に悪しく論ずるという悪循環が形成されている。
 私が推測するに小沢は何千万、今や億を超えた員数の人を統治するには、一人一人の主張を微細に取り入れて行くことは不可能で、合理性で押して行くのが良いと考えている。ただ権力は腐敗するので、権力者を比較的容易に変えられる制度を内在させて、必要に応じて偏りや澱みを是正していく必要があると判断していると思う。
 一つの主張、例えば国連中心主義には必ず異論を唱える人たちが出てくる。それには建設的ではなく自分の感覚と合わないとか強引だとかいう情緒的な反対も混じっているのだが、いずれにしてもこれが唯一絶対正しいなどということは政治ではあり得ず、反対意見が出るのは当然で、検討に値する代案、単なる安全保障の観点からだけでなく全体の中で機能しうる政策、を出して論じなければならない。そして、政治というものは論じているだけでは、まさに空論で現場でどのように機能するかをあるいは機能させるかを示していかねばならない。
 小沢には高邁な国家の理想などない、ただ権力が欲しいだけだと批判する人は、政治の現場で実働する意味を知らない。政権交代などお題目、交代して何をするかが大事なのだという批判も同じ轍を踏んでいる。何とでも言うことはできる、それで何か変わるかと小沢は思っているだろう。高邁な理想には、私の任ではないとにべもないのではないか。
 異なる意見を合理的に集約するのが政治の精一杯、漸進あるのみ。ただ権力は腐敗するので交代させる力を国民に与える仕組みを内蔵させておく必要がある。これが小沢の考え方だろう。簡明そのものだ。陰険な陰謀家だとか権力亡者とかは作られた虚像だと思う。

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